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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第七幕 雪解けの時期
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第三十四話 夜更け

酒を呑みながらに護衛とは、けしからんと思われるだろう。

だが、この状態で酒なしではいられない。


「僕の勧める酒が、飲めないの?」

トップ、護衛対象からの言葉。


護衛は不要では?と思うほどの魔導具の配置に、厳重の警戒は必要なさそうだ。それでも護衛であるという形は崩したくないが。


「死角なしよネ?というか来ても、捕まえるワ。」

シュルトというなの人族だが、商人スキルとは思えない防衛だ。見習わなければ。


肉になるばかりだろう。それがなくても食事は豪華な食材だった。祝いの日に見るくらいで、口には早々に入らない程の高価。この土地では希少だ。

(ああ。食事がウマイ。)


肉を焼いている。もちろん護衛の仕事ではないが役目だ。

今宵の夕食でもある。


そのおこぼれとも言うべき食事を用意されている、セリ向けに果物が用意されるなどのんびりした雰囲気だ。最近の騒動を忘れられるくらいには。


「気分転換が目的の野外訓練…。」


野外とは、魔物の襲来と寒さに耐えるものではなかったか?まず、装備からいって違う。


「お風呂に豪華な食事デス?」

「訓練してないよね。」


生真面目なアレクセイの言葉を、ビクトールとベンゼン。

こっそり見る視界には、戯れる3人。


外であるだけで、大変な環境なのだが。想像と実際の乖離にただ飲み込めない気持ちがあった。


食事はしっかり腹におさめるが。護衛の分まで考えられているため、遠慮も要らない様子だ。酒を振る舞われ邪魔をしないようにしているが。



セリは、驚くほど寛ぐ顔をしている。極北の城で緊張を強いていたのがよく理解できた。


しかし。

『絶対的強者である竜人と狼獣人が一人の少女を構っている』の図。

恐れを抱かず、戯れる様子に衝撃を禁じ得ない。


獣性は、多かれ少なかれ本性が出る。

高揚すれば尚更で、その衝動を理性で抑えが効かなくなる。獣人で戦う者が多いのは性質でもある。


性とは言うが、その程度は多かれ少なかれ生涯付き合う衝動だ。


それとは縁のない人族は、獣人と良い関係を築くものがいる。


ひとつは導く。力の使い方や相棒と呼べる間柄。他種族ともあり得る

もう一つは…“猛獣遣い”とも呼ぶべき強者を甘やかせる。


本能や見た目で距離をおかれる。鈍いのか気づかなのか?

懐く性格とやらがあるらしい


それを目の前にするとは。

しかも、最強と名高い種族2人。


最狂とも言われる扱い難い者達に、甘える?


「酔わなければ」


酔ってしまわなければ、この微妙な気持ちをうまく飲み込めなかった。

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