第三十二話 酒宴
シュルトが風呂に入っていたらしく、湯上がり姿。
それを寝起きの頭で追いながら、ボーっとする。まだ寝れそう。
「セリ、汗を流すか?」
起こしてくれたロードセリは足湯にした。
夕食にそろそろするらしい。下拵えされた肉や野菜を焼く。
“バーベキュー”
「野営料理みたい。」
「豪華版だわー」
食材が、見たことない物もあった。
走ったし寝たので、お腹もすいている。護衛も参加して、焼く。
じゅーと焼く音を聞きつつ、スープをもらって側で待つ。護衛の筈の3人が調理を担当するようだ。指示出しはシュルト。
グスタフとキースも、テントから出てきたのが見えた。
「つまり魔素のガス抜きができれば、暴走しない?」
「他も連動している可能性がある。」
お仕事の話かな?
足湯に入りながら、片手にスープもう片方に酒だ。
「焼けたよー」
カナンがセリに渡す。年齢順らしい?
ガブっと齧ると肉汁が溢れた。ロードにより火傷は防がれている。
ひと通り食べ物がまわり、お酒を呑みだした。
「任務中だ。」
「呑まない〜?その分もらうね」
「食べるデス」
楽しそうな3人の声を聞きながら、ロードにお酒を注いでみる。
セリ自身は呑まないため、“呑ませる作法は覚えとけ”と教えてもらった。
これも、避ける手段だ。
ロードが感極まっている横のカナンにも、お酒を注いだ。妨害され、凍って飲めなくなったのをお湯で温めている。
セリは、シュワシュワした果実水を飲んだ。キンキンに冷えて美味しい!
ダンジョンの話になった。
“収納布”は使わない、
部位として出る。
「ダンジョンでは、“解体した後の肉”が出るんだ。」
ロードに野菜を食べさせてもらいながら、セリが言う。
「楽なのか、もったいないのか?」
「肉だけじゃなく素材になる物も多い。収納バッグで十分だな」
ロードもカナンもダンジョンに入った事があるらしい。
冒険者カードを持たないものは立ち入りを禁ず。管理されている。
冒険者のランクによって許可、
未踏のダンジョンの報告への報酬。
罠、状態異常を起こす仕掛けや魔物。
冒険者の活動であり、狩り場。
魔物の素材、隠された宝を見つけだし一攫千金!は夢だが、興味は尽きない。
「洞窟型なら近くに出来たことがある。」
「おお、よくあるやつな!指名されるくらい有名だと、転移陣を使ったダンジョン攻略ができるようになって…」
転移は既に経験したのだな、とキースを見ると優雅に肉を食べていた。あれがマナーの到達域だろうなと思う。
ロードからもダンジョンの話を聞き、セリは冒険者になる道を考え始めていた。




