第三十一話 泥んこ
「すごいわね!お風呂に直行ヨ。」
セリが泥だらけ、抱えていたロードも泥がつく。カナンにも飛んでいる様子だ。
その理由は、採取。花が咲いている時にわかる土中の根っこ、近くにある鉱石を取り出した。水魔法を使ったが、根っこを取るとき。泥水を使ったらはねてセリが開き直った結果。
終わって泥のついたせりだが、寒くならないよう水で拭うより風呂に入れようとロードに抱えられてお持ち帰りされたのが今。
拠点にすぐ着き、すぐお風呂へ。
「ちょっとはしゃぎすぎた。」
「面白かったなら良いよ〜」
投入されたセリに、ゆっくり入ってきたカナンのフォロー。すぐ隣のロードに、セリは頭をナデナデされた。
(はしゃいでしまった。)
好きなように動き、気ままに採取をすり。魔物が来ても警戒はしていたが安心感が違った。
気持ちの昂揚するまま魔法を放ち。泥だらけになって採取して帰ってきたセリは子供らしく微笑ましい視線がくる。
キースは流石にこの時間まで入っていなかったが、十分な温かさがある。シュルトに料理の手伝いは手が足りていると言われ、セリは休憩を申し渡された。
「ちょっと熱い」
「お、そう?止めるねー。」
冷えたセリを心配してか、風呂を熱くした。やり過ぎも危ないとのは人族の子供の弱さか。
少し涼むセリをロードが冷やした。
回復薬のおかげで、足も痛くない。風魔法の付与で走るのは制御も大変だが後も大変。
もう一度湯に浸かる。
ゆっくりしていれば、湯の中を漂う尻尾が気になってくる。
「のぞき?」
カナンの揶揄う顔。違うよと否定の意味で、首を横に振った。
まあ冗談なのは分かるけど。ロード目が冷たいよ?
気になったのは確かだし、ちょっと失礼な部類をしたのは私。ロードを宥めておいたので、カナンの髪が凍らずには済んだ。
そして風呂から出て
セリは果実水、ロードもそれに付き合って同じもの。カナンはエールが飲みてえ!と言っていたが、同じ色のお茶になったらしい。キンキンに冷えたのを、勢いよく飲んでいた。
「うめえけど、酒じゃねえ〜!」
やけ酒にもならないらしい。
「冷やすか。」
「うえ?!」
セリは涼しかったが、ちょっとカナンが凍りつくという結果になった。
「もう一回、温泉に入ってくる?」
「湯気に当たってくる」
湯気が出るくらい熱くしたものね。送り出した。
ロードがくっついていて、ちょっと涼しいセリがくしゅんっ。
「湯冷めしないようにネ?」
シュルトの忠告に、風呂に再度入るのは免れた。くるっと巻かれ疲れが出たらしく寝てしまった。
すっかり暗くなっていた。




