第二十四話 川の流れ
以前行った、魔木のところから北地点。
風は冷たいものも感じるが、明るい陽射しが眩しかった。
(ここ数日、外にも出ていなかったし開放感)
まだ冷たい筈だが、装備とロードで問題なし。川風もテントで少し防ぐように位置していた。
そこには、グスタフがいた。
ちょっと仕事に集中している様子なので、見るだけ。
「どこででも書けるな。」
昨日ささっと準備ができていて今日、合流した感じ。
“何か面倒があった”という答えのようだ。
詳しくは聞かない、と思ってたけど。シュルトから解説があった。
(暇だもんね?)
「商人も講座を受けているのは知ってるわネ?」
セリは、商人達の方と衛生士の両方に参加した事がある。
「その時に、ロードが依頼を断るのは押しが足りないからだ!って騒いだそうヨ」
「つまり、グスタフに頼もうって押しかけてきたの?」
あの手この手で、やらせようと頑張ってる。
セリは微妙な顔をした。冒険者の又聞きした知識に照らし合わせると
依頼を名指しされても、断る事もできる。体調や依頼成功に足りないと判断すれば、断るのも冒険者の仕事。
“見栄を張って死ぬな”というメッセージだ。ちゃんと覚えているが、実際できるかするかは難しいところらしい。
標的になっている、今はセリの椅子と化しているロードを労うために撫でた。頬擦りで返されちょっと可愛いと思う。
もやもやしているのはもったいない。喧騒から離れられたのだと気持ちを変える。
温かい飲み物を飲み、遠目に川でカナンが釣りをしている姿を望む。食糧を増やすより、遊びでやっているので釣果は期待できなくても良い。
ロードと一緒、なにしようかなあ。
「散歩に行くか?」
「んー今日はやめておこう」
川の流れが聞こえる。
「急ぐ必要もないし」
コテっとロードに寄りかかる。
これも久しぶり?
「部屋にいる時と変わらずくっついてるねー」
気のせいだった。
「釣りはどうしたの?」
「仕掛けして放置。」
罠の方にしたらしい。改造版を考えようか?
魔物もいるので頑丈なのが良い。
皆、リラックスしている。作ってあるものに火を通して昼食。
「準備も楽できるワ〜。」
食糧に心配なく、温かい寝床。
魔物の警戒はあるものの、魔導具があって森に慣れた大人がいる。
(目一杯羽を伸ばせる環境だな)とセリは思った。
あれだけ安全安心の快適空間に居たのに。それよりも楽だと感じるのは、周囲にいる人の圧も関係するのかな?
お守り作りの材料を採取する。
ロードとカナンを連れ、散歩に行く。
夜釣りをしてみたり。
のんびりした時間が過ぎた。人の目に晒されていたのは思った以上にストレスだったらしい。




