第十九話 衝突
「人間を追い出せ!」
大人の声ではないようだった。まだいるだろう集まりをのぞき見れば、小さな影が見える。子供たちも参加か。
「寒いのに。」
小さな点に見えた。
外は気にしないようになったけど、あまり人数に変わりはない様子。
「あったかくしてるかな?」
「たぶんなあ。魔導具は出てるけど。」
「今日、吹雪くって話じゃなかったか?」
カナンもシュルトもそんな天気の話をしていた。寒さが戻ってくるかもって。
(気になる。)
吹雪いてきても、戻らないらしい。
「ハァ」
こちらの根負けだろうか。
カナンに、ロード。シュルトも準備してもらって。
集団のところへ。
「人間!」
あの兄妹も参加しているのかなあ。
「人間のせいで。安全にかえれないんだぞ!お前のせいだ。」
誘拐の心配だろうか。私とは関わっていないんだけど。国とさえ微妙なところ。そんな理屈じゃないんだろうな。そもそも兵士と騎士に守られていて何言ってるの?
「私の庇護者を取る気?」
「お前のじゃない、この城のみんなを守るためにいる!」
それは兵士と騎士。ロードはちょっと立場だと格好でわからないものか?
「君は、父親が攫われたんだよね?保護者がいなくなった。」
「それがどうした!人間のせいじゃないか。l
「そう君は、同じように私の庇護者を奪おうとしてる。」
「何言ってる!竜人様っ俺らを守ってくれるでしょう?」
「俺はセリを優先する。」
当然と言う態度は全く変わらない。
「そんな!酷い見捨てるの?」
子供が騒いでも変わらなかった。ロード1人で移動する人達全員を守れるわけないのに。何を考えているんだろう?それはいいや、それより
「君、父親が他の人を守っていなくなっても、そう言える?」
自分がされたら嫌な筈なのに。
やっと黙った。
「血の繋がりもないロードとなら、たぶん手を離したら、もう会えないと思わない?」
「俺がセリを離すわけない!」
「嬉しいけど落ち着いて。」
「あなたが父親を慕うように、私はロードにいて欲しい。危険な帰り道って言うけど、騎士も兵士もいる。それって侮辱じゃないの?」
この城に篭る時期が終われば、ここの住民はそれぞれの家に帰る。国の方へも毎回だ。
「それでも奪うの?」
奪われて、悲しかったくせに。それを私にしようとうとしている。すごく冷めた視線を送ってしまった。
これで済むとは思わないけど、一時医療棟に移動を促され解散するだろう。
「それでも竜人を独占するな!人間っ」
「いい加減にして!」
私だって怒るのだ。魔力に乗って。ブルリとしたのは寒さだけではない。
その黙った隙に兵士が連れていった。
部屋に戻った後、俺は一緒にいるからな?とロードが私にべったりだったけどわかってるって。




