第十七話 接近
「貴方の力を使うべきです!」
部屋の前で叫び声をあげている。
セリが窓辺に近寄って下に視線をやると、外にも人集りが見えた。
かなり高いところにある部屋なので、点に見える。着込んだ商人と兵士の輪郭だ。身につけているもの的に。
温かいよう火が焚かれているのがまた、用意周到?
しばらくあそこを動かないのだろう。
国に帰るのに、ロードがいた方が安全だという下心があるのか。
その場合セリが邪魔者である。
「ロードがいなくても騎士と兵士ががんばってるのに。」
道を切り開き、各ポイントで待機する兵士達。魔物が出た場合、守りながらの討伐をする。魔物除けを使うとは言え、しばらくは野営して過ごす。
「命かかってるとねえ。」
より安全に、安心したいという思いから最強の力を持つ者と国に帰りたい
らしい。護衛に雇えないかと話を来たらしい。
城内にいたとはいえ、魔木の影響があったと聞けば不安になるのか。
「この城に何かあったわけじゃないのにね。」
セリは、他人事のように言うがその魔木を封じた1人であるとカナンは心の中で付け足した。
(自覚はなさそう。)
ヒョイっと自身も下を見る。セリよりもしっかり見え表情まで確かめた。
金持ちを体現しようとしている商人、それに媚び売る兵士か。顔は覚えた。部屋に近づかせないリストだ。
「ノってきたらラッキーくらいに思ってるんだろうねー」
パフォーマンスだ。自分は皆のために訴えている、寒い中頑張って皆の希望を届けている。
こーいうのに、他が乗せられてこの部屋に突撃に来るんだろうなとウンザリした。
「お陰で出れない」
可哀想だが出ればつかかってくる。
『氷像ができるのは仕方がないが、退会が開けそうな数は勘弁』
情報部の一致である。
(オレも元だけど賛成。)
セリがずっと部屋の中。しかし、夕暮れに外に出ることにしている。
そこにでっぷりとした商人が近づいてきた。
「おお、お子様がこんな時間にお散歩ですかな?竜人様を無駄に使って偉そうにしてらっしゃる?」
「依頼はだしたの?」
「ええ。相応しいとまでいいませんが、ワタシのできる限りを。」
つまり、最上級でない料金。
「依頼の拒否権。人への文句は出るのに、自身のものは出さない?」
「子供なんかに!」
「子供何を求めるの?大人でしょ。」
『セリはまだ子供でいて良い』
そう態度で示してくれた。
「“守られている”それで偉そうにする気はなかったけど。
子供にどう言い聞かせているのか、興味深い。
皮肉だけど。」
『自身の行い
相手に求めない事
それをしても苦難の時期というのがある』と説く。運命神の教会で学んだ。
これからもそうだと思う。
切羽詰まるというならわからなくもないが。安全のため
極北の城全体の防衛を依頼されている
「個人の依頼を受けない」がロードの答えだ。




