考察メモ④
酒を飲みながら。この城でのんびり飲めるとは思わなかった。兵士が多いし獣人の習慣には馴染みがなかった。
研究に熱心な者と呑むことはあったが。先に酔い潰れる。
「グスタフ、強いんダカラ当然ヨ。」
「普段より少量だ。」
「その普段って、火酒とか一昼夜飲んでるドワーフの呑み方デショ。」
他の種族は、倒れるレベルの呑み方らしいがドワーフには日常だ。
顔色を変えない、キース。マイペースに飲んでいるアクレイオス。向こうのロードとカナンも飲み物は酒のようだが顔色が全く変わらないな。
「アナタ達のペースに合わせてたら潰れるワッ」
シュルトも強いんだろうが、このメンバーでは無理だな。
そう言う自身ものんびりだが、しっかり酒を空にしていた。
「この度数って、割らずに飲めるモノなの?」
「人族には難しいかもな。」
「ボクも無理だけど?」
「セリが触れないように、持っていくわネ。」
「劇物扱いだな」
「料理に使うとおいしいって聞いたけど?」
「もったいないわヨ。」
どの酒がいくらかわかるのだろう。
「これも開けるか。」
また高い葡萄酒が追加された。
「ワタシにも!後学のために飲みたいワっ」
もぐもぐ食べている。ロードの膝の上で。
「保護欲をそそるのよね、あの食べ方。」
「餌付けしたい感じ?」
「デザートなら、頼んだぞ。」
「すでに、甘やかす祖父がついてたワ。」
「曽祖父の間違いじゃない?」
300歳越えですものね。
エルフは子供を甘やかし過ぎると言う話だが、そうかもしれないな。
「エルフのおまもりは、木彫りが多いな。」
「魔石を埋めてある装飾品は、元々おまもりの意味合いが強かったらしい。今では、財産の見せびらかしだけど?」
「代々伝わっているものなら、デザインに法則性があるだろうか?」
「んー。源泉がどこかとデザインに隠してあるとか、してそう。」
「盗られないためと、職人の意向もあるかもネ?」
そうか、職人が独自に発展させていれば秘匿して継いでいる、か。
「まとめるのが難しくな。」
「家宝とか見せてもらって、家系図と所有者を辿って?そのおまもりの効果を鑑定、記録する?」
「数が必要か、いやひと通りの証明ができれば有用だ。」
「偽物騒ぎが起きそう?」
「騙りもありそうだな。」
権力者2人の言は重いな。
「僕の趣味だって言って、直接交渉するのが良いかなー。」
結果に興味はある。地域による効果別の発展を調べてみるか。教会で扱っているものから調べてれば足掛かりになりそうだ。
派生した話はつきず、上手い酒と飯の夜になった。
セリが船を漕いでいるのが視界の端に見えた。




