30-妖精の悪戯
「そっか」
「これで来れないのか。」
気づいたけど、入れないかもと思ったと入口。
今は、2人が見えるけど入る前に立ち止まった洞窟前。この中に入れれば、泉がある。
「魔力の溜まり場って感じに、なってるかな?」
「まやかしがかかっている場所というのは、精霊の棲家になっていると言うが。」
(拒否されていなさそうだから、このままいけると思う)
更にグスタフの解説があるが、原理は分からなくても入り方は簡単だ。
「お願いすれば入れる。」
この泉以外がどんな条件があるのか知らないけど、セリは拒絶された事はない。
そんな一行は昨夜は早々に寝て。早朝に起きた。
約束したためセリが起き出したが、ロードは寝ている。朝は得意ではないらしい。一緒に寝ていたので、ちょと珍しい様子が見られた。優しく寝かせておいたよ。
泉に行くか聞いたグスタフは涼しい顔で待っていたし、キースは頑張って起きて来た。
そして現在、カナン付きで泉を見ている2人を待つ。入り口に護衛をしている風だけど、あくび混じりなので晩酌していて寝るのが遅かったのかもしれない。
残るシュルトは朝の支度をしながら、シスター達と話して情報収集するらしいと言っていた。持ってきた魔道具の使い方も話してくれるのでお願いした。
「採取しても構わないか?」
「もちろんどうぞ。泉に来れた人は飲んだり汲んでいくの。」
「効能は?」
「花が長持ちするとか。浄めに良いって。」
「ポーションの効果アップがあるって聞いたけど?」
「噂、かな。商人のおじさんからだから、話を盛ってるかも」
質問にセリが答えるとキースは考えながら、壁になっている岩を触っている。グスタフは汲んだ水を透して見ていた。
「商人がおじさんなら、可愛いシスターに好かれたいって?」
「可愛いんだ。」
暇で関係ない話になる。
シスター達は未亡人と以前、教会に勤めていた神父の娘さん。カナンは、愛嬌がある女性が好みか。
ペタっと耳が伏せたが、どっちが好みか突いてみた。正直ヒマだった。
特に奥深くもない洞窟は早々に引き上げ、神父様に挨拶してから、台所へ。
「おはよう」
シュルト、馴染んで居た。
「アラ、おはよう。もう終わったの?」
「うん、手伝いする?」
もう大丈夫、朝食にしたら?ロードも居る。
「セリが手伝ってた頃?」
「確かに、最近は言われていないわね。」
「偶然じゃない?薬草の薬効成分の違いが時期で出るとか。」
まあわからないね。と結論で終わった。
そんな3日はあっという間だった。教会では引き止める事はせず、旅立ちを見送るだけ。
「セリ。ここは君の家なのだから。」
「はい。」
出る前に挨拶した時、頂いた水魔石が小さな雫型。
守護石と旅の安全を祈ってくれた教会を自身の足で出て行ったセリだった。




