20-村
翌朝、村に行ってみる事にした。
テントを残した軍人が補給したとか、ポーションの出どころの話が聞けると踏んでの事だ。
「教会に縁がある人が多いから薬師がいれば、話がしたいところ。」
薬師と言っているが、街にいるような薬学を治めた人ではない。治療の知識がある、ポーションが作れると言った程度だがいるといないでは大違いだ。
大事にされる職業であり、治癒の関係から教会とは自然と交流がある。教会で学んだと言う人も居るはずだ。
「教会から仕入れているかもね?」
この森に囲まれた地域で、買った品質ほどのポーションが作れる人はそういないだろう。シスターなら作れるとセリは考える。
村へはシュルトとセリ、ロード。グスタフも加わる。見た目で怖がられない獣人は警戒されるだろうとこのメンバーだ。
ロードとグスタフは護衛の立ち位置だが、セリがいる事で訳ありでも拒否されるほどじゃないと思う。
町と同じく、商人の一行で人探しをしている設定だ。
「護衛として楽」
残るカナンが言っていた。夜の見張りもあっただろうから、休めると良いと思う。
「行ってくる」
「気をつけてな、主にロードにか。」
魔物も雪に慣れているセリには問題なく…
いや、埋まりそうになるのを引き上げてもらった。
「大丈夫?」
「深かったな」
心配してくれるシュルトとグスタフは問題なく、セリは納得いかない。
「不可解。」
「避けてあった雪だな。」
ロードが言う通り、雪かきの後だろう。背の高さからセリだけ腰まで埋もれた。
ちょっと恥ずかしい。もう村があるとわかる距離に来ている。
音や建物があると分かるらしいが、セリにはわからない。
「ワタシも分からないけど、確信してるもの。」
あるのは確定の様子。木々に囲まれ獣道を上がって行く。
雪かきがされて、木でできた柵の側に小屋があり…
人影。
「宿はないぞ」
ぶっきらぼうだが、拒否ではない。
「通りすがりの商人ヨ。人探しもしているの。」
「そりゃ難儀だな。村長とこ行け」
示された方向へシュルトが先頭に、後を護衛のように、歩いていった。
正確にはセリも護衛対象だ。子供がいると警戒も和らぐ。
特に大事に守られていると余計に。
「国に行くのかい?」
村長は人の良さそうなお爺さんだった。
「いいえ、人を探しているっていうより、この子の居た教会を探すているの。」
「ポーション目当てか?」
「洞窟きのこ、おまじないのお守りを売ってると思う。運命神の教会」
「ほ。」
驚きの声だろうか。さらにセリが言う。
「そこの孤児院出身。洞穴に泉が湧いてる。」
「すまんの試して」
どうやら知っているらしい。




