第19話 医師
襲われている
(イチかバチカで反撃する?)
刃物を持っているかも。誰か来て鉢合わせしたら危ない。
どう反撃すれ逃げきれるか。
見回りがいる時間帯だ。
だれか戦える人が来るだろうか。
色々な考えが頭の中で、錯綜する。
“…見回りが“作為的”に外されていたら?”
(私を抹殺したいんだろうか?
傷つけたいだけか。
でも、あの強化された窓を割ってしまう馬鹿力に攻撃されて
生き残れるだろうか?)
ここに医療があっても。
私の身体が持たない。
「人間風情が。…」
ここに人間は、私だけ。狙って来ている。
ギュッと潜っている布団を握った。
ジャリッという音は、破片を踏んでこっちに来ている?
(武器がない。防具もない。)
おまじないをしながら祈る
((切り抜けてやる。))
敵はひとり
時間を稼げれば、医師が来るかも。それまで持たせる。
消灯時間まで?そこまでは難しい。
逃げ出す?いや、多分捕まる。
窓から、この上までたどり着いたのは腕力と脚力が必要だっただろう。
獣人かな?何が得意だろう。
木登りとか
可愛い特技だったら良いのに。部屋に飛び込んだ後、片付けとくからこのまま帰って欲しい。
(まだブツブツ何か言ってる。)すぐにはトドメを刺しにこない?
手元にあるのは、分厚い本。
(これで防げるかな。)
部屋には物が少ない。隠れられる場所、立て篭もる
防御の盾になる物は…
「裁きを!」
声に反応して起き上がる!
布団を相手に被せ、ベッドを蹴り上げた。
相手との距離をとり、様子を伺う。
ひょろりとした背の高い男で、特徴はシーツでわからない。
逃げたいけど、悪手だ。
捕まった途端にやられそう。魔獣と対峙するような
緊張感。
相手はシーツを片手で払い除けた。知らない顔。
昏い目だけが出ている被り物で顔がわからない。けど、
狂気の目だ
「閉じ込めないなら、首輪を」
そんな趣味ないって言ってやりたい。
煽るのはご法度
ジリジリと後ずさる。
「ウォン!!」
相手の顔が、吠えた方に行ったのを見逃さない。
扉に向かって走った。
パシっと
飛び道具が弾かれた音?
チャっと爪が床に触れる音だ。
扉から出て覗いてみれば、大きな狼がいた。
(魔物?そう思えるほど魔力がある。)
あまり遠ざかってはダメだ。追いつかれる
バクバクいう心臓を落ち着かせ、誰か来るのを待った。
来ない?
割れた音で誰か来ても良さそうだけど。
魔法を練る
わかりにくくする《《おまじない》》
見えていると意味ないけど。他にも敵が来るかもしれない。
狼に守護の《《お祈り》》を
この見知らぬ子に、頼るしかないみたい。
なにか?やれること
もう一度金属の跳ねた音
ビクッとしてしまう。
落ち着いて、敵はあっち。どう撃退すれば良いのか
硬直状態だ。
「誰かいるの?セリちゃん?!」
ナナン医師の声だ。
ドガアアン!と音がした。窓だったところから入ったみたいの知った気配。
室内…だったところには、キレるロード
商人も医師と廊下から来ていた。
「落ち着いて、ここでやっちゃうとセリちゃんの立場が悪くなる!」
なんとか止まったが、崩壊した部屋は
星空が綺麗に見えた。




