25-坑道の地図
坑道の地図
ドワーフが何百年前かに掘ったらしい。ほったらかし。
ちょっと韻を踏んで、気分が上がる。
セリは十分に気合いが入っていた。
「小さなところでも入れる!」
しかし、その利点を持つ者が同行する。
『衛生士デス』
体格、斥候役もできるとあっては、セリより役目に適している。
そもそも、セリを最初に穴に入れることは、あり得ない。
ロードがさせないし、そんな状態を作り出さん。そのため、セリと手を繋いでいた。デート気分。
セリの活躍の場は無く、それを本人以外が察している。その反比例で本人はやる気に満ちている。もともと、どうなっているのか興味があった場所だった。
探究心
道は何本かあるとしかわかっていない。装備の不安と迷子になる可能性から1人で入るのはここまでと決めていた。
それも、緊急事態で隠れる場所として。
セリの知る範囲では、この穴から逆側に出られない。坑道とも知らなかった穴の情報は、真っ直ぐに行けば開けた場所に出ると聞いたのみ。
横穴は、荷物置き場のように使われていたり、その形跡があるだけだった。今考えると、寝床に使われていたのかもしれない。
気配がないとはいえ小さな魔物、出会えば逃げてしまう種類でも危険がないとはいえない。
「準備万端!」
「夕食までには帰ってくるのワヨ?」
シュルトの声に、それって遊びに行ってくる子へのようで浮かれ過ぎを自覚するも、楽しみなのは変わらない。
調査はグスタフが指揮する。
土魔法による確保、ロードの氷魔法もあるため洞窟内が崩壊したとしても防げる。
護衛にセリと顔見知りの3人。カナンとシュルトが保護者としてつく。
キースはそろそろ動けない立場だ。兵士も増えて、森の探索計画も進んでいる。
雪が降ることも減ったが、足元は危ない。慎重に計画的に進んでいるようだった。
“この大々的な動きで教会が見つかるか?”
多分無理だとセリは察している。
隠れた場所にあるらしく、行こうとしたがいけない場所と言われているとか。初耳だった。
そもそも、孤児院から出ていないし、教会に行ける人達としか話していないのだ。
“なんらかの人避けの呪いがしてあるのだろう。”と聞き、そういえば魔物も周囲で見かけなかったと思う。
「変な教会?」らしい。キースにも心当たりのない運命神の教会。
教義上、孤児院の運営をするのが多い筈、それなら関わっている貴族階級がいるのでは?とそこから探す事もできるらしいが。
まだ魔木の問題があり、接触するのは時期尚早。先送りの判断がされたが、セリは焦っていない。
(この雪だし、無理でしょ。)
暮らしに不安はない。雪解けの時期にわかれば良いな。と落ち着いていた。
それより、興味を優先させているかもしれない。冒険者志望だけあって、好奇心は強い。
戦略も能力も上の人達と一緒に動けるのも大きい安心感か。役目がないと言う危機にはまだ気づいていない。
「僕も行きたかったんだけどね?」
坑道だった場所で、キース火魔法のが危険だ。
「他の魔法も使えるよ?」
“危険だ。”の共通認識のもと、お留守番頑張って。
『お土産があったら持ってくる』
と宥めて、拠点を出た。
北の砦内部に一度入らねば辿り着けない。兵士の手が入った、補修された道を通り…
入り口へ
力持ちの護衛2人によって開かれ、2人一列に並んで進むこととなった。
最初はグスタフとビクトール
“指揮官と斥候”
その後ろを守るようにつくアレクセイとベンゼル。ロードとセリの前の護衛でもある。最後尾にシュルトとカナンがついた。
まずは、開けたところまで確認しながら進むらしい。
異変がないか目視しながらの前方とは違い、手を繋いでデートな気分なロードを呆れてう後ろからみる保護者2人がいた。
ちょっと緩い探索がスタートしたのだった。




