12-準備中
「編成し終わったら出たいね?」
キースの言葉は、すぐ城を出そうな勢いだった。
食事も終わり、豪華なコースの最後のデザート。つるんと甘いデザートをロードに食べさせられれるのも慣れた。
キースの機動力にも慣れそうだ。
「北の砦の調査なら参加したい。」
要望だけ伝える。
「ロード付きなら良いいよ?」
許可、早い。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!セリにやらせるのは…」
タローのオッサン、待ったをかける。
予想通り。動きたいと言った前は、だいたい待ったがかかる。子供なのでしょうがない。
クエンも参加だが、食事の方が大事かな。良い肉、ワイン付き。甘いものもいけるってなかなかありつけない食事。
“食えるときに食え!”だもんね。やっと咀嚼して話し出した。
「まあ、いんじゃね?お守り役もいるんだろ。」
「けどな!あの環境に、変な物があるかもしれんし。」
“子供が見ちゃいけないもの”
具体的にわからないが、それが目に入る心配だろうか。
「見たいのは、洞窟の方。」
砦の部屋の中は興味ないよ。と伝える。大人として見せたくないのなら、子供として従おうと思う。この場合お、大人のがショックを受ける。
“子供に見せるべきものじゃなかったのに”
見ないふり、通り過ぎれるのも大人のためだ。紅茶を飲んだら、口の中の甘さをさらっていってスッキリした。
「あ、あっちか。」
「あそこの探索はしている。迷路みたいになっているけど、全部はわからない。時間がないのと、脱出経路として使えなかった」
と判断された。
「1人でいったの?」
「地図見ただけ。」
「本当に?」
「数回、逃げるのに使った。」
「まあ、それはしょうがないか。」
クエンの追及から逃れた。
魔法の効果がわからないけど、落石は危険だし子供1人で行って欲しくない場所。“緊急事態、どうしようもなくならオッケー。”の約束は守った。
あそこで色々やりたかったけど、姿を見せてないと探される。隠すほどのことはやっていないけど、貴族に見つからないようにはしていた。
小さな実を口に含む。甘酸っぱい、紅茶の味を変える赤い木の実。
この味面白い!とロードを見たら、ロードの分もくれた。
催促したみたいだけど、くれたんなら貰う。
キースは砂糖を齧りながら、思案が顔だ。
「あの贅肉、どうしようかなあ?」
護衛が反応したが、セリには聞こえていなかった。
幸いだった。子供に見せるのは早い、大人の怖さだった。
「すぐ出るの?!」
「一時帰宅。」
今度の遠征は大所帯になる。数日はいるが、この城にいるより北の砦での調査に加わりたい。
タローのオッサンとクエンも参加で、夫人とコックさんは極北の城にいる。
いつのまにか職場を得ているコックさんに、手に職があるってこいいうことかと感心した。
国の料理も作ってくれるらしい。素朴なお菓子だけどとくれた懐かしいクッキーに礼を言ってしまう。
シュルトに相談して、材料や作る道具が行くようにしてもらう。料理人は料理できてこそなんだなあ。とても楽しそうだった。夫人のお見舞いを頼み、また出かける事を伝えて別れたのが昨夜。
夫人は寝ていたので、花を飾って帰ってきた。安定しているそうだから、任せて大丈夫。
そんな人が増えた話を兎獣人、リリンに話す。
「こんな寒い土地でよく動くわ」
城に篭りに来た獣人達から言えば、そうなのか。
雪が酷くなければ、外に出ていたので違和感はない。
それより、安全性が上がって、快適でさえある。この違いは大きい。
『極北の城』は大きい。多くの獣人が一時的に冬を過ごす場所に自分がいるのが不思議だ。この階層の高さも慣れてきている。
決まっている予定は、川は補給地点となり拠点を北に移し、砦に前に一大拠点を広げる。
セリは、行ったばかりの『北の砦』に想いを馳せた。




