4-合流
ロードに抱き上げられながら、セリは端的に説明した。
「小屋に行こう。」
何も説明していないが、混乱しているので素直に従う。今話せば煩いだけだ。
クエンはロードにビビりながら移動、しばらくして北の砦に“取り残された”4人が集まった。
「残ったんだって」
いや、命が危ぶまれた状況は居残りではない。セリは訂正しなかった。
オッサンを中心に、話を整理している。
「あってけえ」としみじみ言うくらいには暖かい小屋の中。
グスタフは戻ってくるなり、ブラディベアの肉を捌いていてシュルトも側で補佐して雪原にいる。
3人揃った護衛も、キースにべったりだ。小言ももらっているがどこ吹く風だね。ベンゼルの抱えて来た書類に目を通しながら、生返事をしている。
セリの側にいるのは、ロードはもちろん、カナンもだった。
「ちょい休憩〜。」
「ああそう?」
いつも通り、和やかにしている。それを呆気に見ている、4人の生き残り。
「獣人だよな?」
「そうだ。」
ロードが肯定した。
「そっちは犬系で、アンタは?」
「竜人。」セリが答えた。
2人が驚きに身を引いている。
「よ、よりによって竜かよお」
「マジ、え、マジで?」
オッサンと、クエンが煩い。
「番というものでしょうか」
上体を起こしている夫人が、博識だった。
「唯一の存在が居て、そのために街を滅ぼしたという話が。」
物騒。
「まあ、そういうこともあるだろうな。」
「ああ。そうだがオレは狼だぞ。」
ロードが否定しないし。カナン別の箇所を訂正した。
犬獣人のが多いため、狼とは判断されないことが多いらしい。
ちょっと慰めに肩をぽんぽんしておいた。尻尾が揺れたのを確認する。
さらに身を引いている。
「オオカミはヤバいだめ、無理!」煩い、細目だ。
「可愛いから、だいじょぶなの!」
謎の理論をいうセリに、場は間があった。
「セリ、竜も可愛いから大丈夫だ。」
「「んな訳あるか!」」
カナンとクエンの声がかぶった。
(仲良くできそうじゃん)と見ておいた。
「よし、帰り支度するよー?」
キースの声に、グスタフとシュルトが合流していたのに気づく。
既に、地図の確認もされているらしい。
「拠点に戻るよ?」
「どこ通るんだ崖があっただろ?獣人の身体能力なら渡れるか」という
夫人はソリで運ぶ事になった。食材を運ぶ用の小さめだ。
担ぎ上げることを想定しているらしい。
男ども3人は歩け、と。
セリもしっかり休んだ。ここにたどり着いてからそれほど動き回っていない。
着く頃には日が暮れる予想もあるが、早々の移動を敢行する。
それは、森の様子がおかしいのと『北の砦』で得られるものが少ないから。
4人の証言者を回収し、一度極北の城へ戻る選択をした。
生き延びるのは確定だが、どうなるかわからない。セリの待遇から、そう悪い事にはならないんじゃないかと
思考もあるが
子供と大人の違い、番いという特別枠。
(やっぱ俺の人生波乱だわ。)
オッサンそうしょげたのをセリにもらった飴で元気付けられた。
「甘いものなんて凄く久しぶりだ!」
竜人に睨まれたが、すぐにセリ自ら口に入れられて満足そうだった。
意外と表情に出るのか?
氷の魔法を扱うらしい保護を求めたが、交渉も必要になってくる。
セリの様子も気になるから
シュルトいう人間の商人に話を聞こう。
嬉しいし、救われるのはなんとも大人気ない気もするが
“生きててこそ”
そう言ったセリ、坊主と呼んで守っていた子供に助けられ
一応敵国の『極北の城』という場所を目指す。
その前に崖があった。
「これを渡るのか?」
回避案件だろ。




