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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第五幕 集結
192/411

3-移動

「セリは、なんで帰ってきた?」


「教会の場所が分からないから。聞きに来た。」


「あ〜。そうか、こっからでもわかりづらいもんなあ。少人数で置いてけぼりくったがなんとか、帰る組みを送ったんだ。結構無茶な装備だったが。」


ここに止まっても、生き延びるのは難しい状況のようだ。



「戻ってこないのを見ると、なんとか川を上って行けたと思うが。地図なら、資料が残ってるな。」


オッサンはこんなだが上の方の人だ。軍事機密的な地図があるかな?

セリの居た教会にも来ていたが、一緒に遭難したので案内は期待できない。


北の砦内部で、手に入れる事になったが案内の前に

食事をする。


「細目のクエンが戻るのを待ち、捕虜になる!」


とのこと。


そんな決心を食事をしながら聞く。あまり食べられていなかったそうなので、シチューの具を潰したものとパン。



早々に食べたオッサンの案内で、グスタフと熊獣人のベンゼル、シュルトが砦の中に入っていった。


キースの決定で情報も欲しいし、反抗的な態度でもないので連れ帰るらしい。


それが耳に入っていなそうなコックさんは、香辛料を楽しそうに見てる。

変わらず、ブレない様子だ。


小屋の中にテントを展開し、お茶タイム。キースはどこででも優雅にあっついお茶を飲んでいる。


夫人へ回復魔法を使ってもらってので、休憩は必要だと思うけど。小屋の中は暖かくなってきた。



調査、深い洞穴もある


「この砦の乗っ取りだね?」


放棄されているモノなら、乗っ取りというか拾い物?


この場所を記録し、川の拠点に戻る。そこで一泊して極北の城に帰ると。あの速さでは無理だと思うが?


「最短距離でどうにかできるんじゃない?」


なんとかするらしい。休憩後。


「台車を探すか?」

夫人を背負ったほうが速いかをカナンと話している。体調を崩しているため、療養させた方が良いし早い方が良い。


シュルトが出した予備の防寒着に、魔道具で温めての移動に衛生士のビクトールとコックさんも加わり決めていると…


ゴォオオオア!!


咆哮が聞こえた。

ビクッとセリの肩が上がる


“出会ってはいけないモノ”

木の上も危険なそれに恐怖を覚えるが。


ロードに撫でられ、少し落ち着いた。

「ブラッディベアか?」


臨戦態勢に、キースが準備しているのを見た。


(あれ?護衛対象が出撃する気、満々だ。)


今の戦力は、護衛の2人はアレクセイの方。

キースに、カナンとロードがいる。


セリは弓矢を持った。


5人で雪原に出て行く。

悠々としているロードに、抱えられて当然のように一緒。セリの不安は消えたが、緊張感がある。


「ブラッディベアが獲物を狩っているところか?」

カナンが先行した。


アレクセイはぴたりとキースの護衛につく。

セリにも木々にぶつかる音が、こちらに向かってくるのが分かる。


足が速い魔物なので、ここに到達するまで直ぐだろう。興奮しているようで…すごく逃げたい。


「大丈夫だ。」



ロードが前に出て、木々が切れる地点に魔法で氷柱が出る!

姿が見えたところで、突進は止まった。


(迫力がある)、と呑気に見れる気持ちの余裕がセリにあった。


「燃やしたら、毛皮の価値ないかな?」

そののんびりした声とは、違った火力に倒れる魔物がいた。


「ブラッディベアの毛皮ってゴワゴワでいらねぇよな?」


倒れた姿を近づいて確認している。

カナンは好みじゃないらしいが、金持ちが全身の毛皮を敷くのは定番らしいと聞いた事がある。獣人の国には無いのかな?それより…


「肉は煮込むと美味しいってきいた。」


以前、シュルトが出してくれたシチューの肉を思い出す。


「小せえな」

魔物にしては、小柄か。


セリは遅れて3人が視線を移した方を見ると、細目の男が、姿を現した。


「ドーユーこと?」

クエンという、4人目の生存者だった。

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