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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第一幕 極北の城
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第16話 部屋

連れられて来たのは、貴族も住んでいそうな装飾の区画。

初めて入った場所にキョロキョロしながらも、手を繋いでいるので


(子供のフリは終わった筈なのに)とセリは思う。

歩幅の違いと、周りを見ている姿が心配だったらしい。


“おてて繋いで”な状況だが体格差で、それほど違和感はない。


「ここだ」

ロードの部屋は角の部屋、やはり貴賓室のようで緊張した。

室内は、広い。家具がないからだ。

ローテーブルなどなく、クッションが積まれた床に

モフッとしそうな毛皮が敷かれている。


高級なものの並ぶ貴族用の部屋をイメージしていたが違った。

(文化が違うのかな)


それでも豪華な部屋らしく、ちょっとした料理のできる場所や

従者用の部屋付きらしい。


大きな窓に近づいても寒くなく、魔導具が配備されているようだ。

遠くに森が見えた。

砦の周りが見えるよう、伐採したのだろう。


外を見ても場所はわからない。

森と遠くに山脈が見えた。



「どれが飲みたい?」

紅茶を3つ香りを嗅いで、知っている香りを選んだ。


紅茶をセリが淹れた。

最近知った魔導具でたどたどしいが3つ。

ティーカップではなく、陶器のボウルに注ぐ。


手に沿うように持てる形は、手も温めてくれる。


「ありがとな」

「頂くわ。」


ロードとカナンにも出し、座るところでロードの膝の上に座った。


「??」

座り心地は良い


椅子はセリには大きく、足がつかないので好都合。

今はもふもふの敷物が触れずにいるだけだが。


この作戦は、

商人で人間のシュルト監修の部屋だった。

元々、机はなかった。狩りの成果物を広げられるようにしていたためだ。会合は他の部屋で行うため不要。


南の地域にあるインテリアになった。

紅茶を3つにしたのも選びやすくした結果。



全部の宝石を買おうとした男をとめたシュルトは、しっかり仕事した。


現在、ロードの部屋に持って行く甘味を用意している。

生菓子でセリには手が出ないほど高価だが、ロードの懐は痛まない。

木の実などの歯応えのあるものを好むようなので、お土産に渡す用。


“ちゃんと部屋に帰らせる事”

この約束が、協力の条件だったのをセリは知らずにいる。

シュルトがその確認に向かう予定だった。


その一方、

ロードはセリを撫でながらご満悦だ。

普通なら侍女を呼ぶところだが、ゆっくり水入らずで居たい。


護衛という名の監視役カナンがいたが。


部屋の引っ越しの話は延期にするよう命令があった。だが!

なんとか一緒に過ごしたい。


「番って何する人なの?」セリからの疑問から始まった。


「番以外、見えないんだ。」獣人にとっては当たり前の答えをロードが言う。


それが恋人とかより、セリは愛人とか妻の1人と受け取ってしまった。

「血統の婚姻とか、貴族が血を濃くしすぎないようにって手をつける?」


「なんで知ってんの?」思わず言ったのはカナンだ。


セリの情報源は周りにいた兵士達だ。

下っ端同士の愚痴聞き相手、役職付きの喋り相手にさせられていた。

同時に、保護もされていたのだが

“耳年増”になっているセリ。


「番は違うの?」

「執着だ」カナンが代わりに答える。


「妻の1人とかある話だし、そう言う…」“もの”まで言えなかった。

カナンのあちゃーという顔に…


ロードを見た

冷気が発生しているくらい静かだ。


「ロード、ごめん。番ってのが、分からない。」

セリとしては思いついた事を言ったのだが、こんな顔させたくなかった。


ギュッとロードを抱きしめて落ち着かせる。


「番の執着って、この世のもの滅ぼす勢いだわ」

カナンがボソリと言う。

番を見つけていない獣人には分かり難い、変貌だ。



「?何もなくて絶望する顔だよ」と抱えながらロードを宥めている。

カナンが『冗談だろ?』の台詞を呑みこむ。


セリの眼は真剣だった。

(今の顔はさせたくないかなあ。)と思ったのは本心だった。


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