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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第四幕 北へ
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番外 変化

「ご苦労だったわね。もう来なくて良いわ。」


クビを告げる。この極北の城までついて来てくれて、感謝していたけど…

私の意に沿わない判断を勝手にしていた。


それに気づけたのはここ、『極北の城』団長を勤める夫と久々に会った時の会話だった。医療棟の個室での療養は、外からの人を制限した。私の場合、面会はいつでも良いと言われ養生した生活を送っていたが。


もう、側に置いておくには不信感があり過ぎる。

「な、なぜで御座いますか!カトレア様っ」


「なぜと問うのね。貴女が夫の訪れを断っていたそうね?」

「それは、お休み中にいらっしゃる団長様が…」


団長という仕事柄、書類仕事も多いと想像できる。そのため、急がしいのだろうと私から連絡を取ったのも数回だ。それさえ、数回は果たされていないかった。

「そうであっても、報告も正しくなかった。彼が来たことも告げないなんて。」


非難の目を向けた。情けなさを通り越して、あきれている。


「ここまで、仕えてくれてご苦労様。雇用関係については、屋敷に帰ってから正式にします。」


私に不利益を与える者を近くに置いておく謂れはない。


「それは…」


ここで大人しく暮らしていれば、目こぼしましょう。


「元の主人の方にもよろしく言っていいてね?」

誰が差し向けたかわからない、証拠はない。けど私とあの人の仲を悪化させる意図はあった。まんまと嵌まったわね。



それも気落ちしていた頃の話よ。


私は強くならなければ。

あの子が生きている可能性を聴いて、体から力が湧いた。


もう大丈夫です。

もう腑抜けはしない。


そうして、静かになった部屋。自分でお茶を淹れた。以前はなんでも自分でする暮らしをしていたのに、久しぶりな気がした。


騎士をしていた記憶が遠くなっている。あの子ともう一度会うのに、今の姿を見せられないわ。(鍛え直しましょう。)


気合を入れる。当面の問題は…。

思考を整理しながら紅茶を啜ると熱いだけで、味がイマイチだった。これも練習しよう。


さて、侍女がいなくなった。

今交流のある小さなお友達に、侍女見習いを頼めないか聞いてみる事にした。


身体の方に不調はもうない。

だいぶ、体が鈍っただろうから徐々に行動範囲を広げられるよう、相談しよう。



ーーーリリン視点

侍女にならなかって誘われた。獅子のご婦人のことは知っていた。団長様の奥様がいるって。その方と交流ができたのも意外だったけど。


大人の友達から、先生になって。今は…


「カトレア様」


としっかり世話をする。年齢からして。私ができるのは侍女見習いだけど

。お茶の淹れ方からマナー、淑女の振る舞いというやつを学んでいる。


親切心だけではないだろうけど、これは私には必要な変化だと思う。

きっかけをくれたセリには感謝しないとね。


まだ戻ってこないのか。そんな話ばかりカトレア様としている。

出かけたメンバーも以前の時より多いらしけど。


(心配くらいさせてよね。)


私の状態を慮りながらと良い環境だ。今回、急なお願いだったけど

“渡りに舟”だったのは私の方。


セリに感化されて、いいえ元々…

“じっとしているのは、性に合わない”って分かったの。


どうせ文句が飛んでくるんだから?

好きにすれば良いのよ。無理をするって意味じゃなくてね!


そんなある日。

「こんな子娘をお側に?!」


わあお過激。以前、お付きだった人。何か問題があって解雇の形になっている。というか、ここに来ないよう言われている女性だ。


睨まれてるぅ。全然怖くない。


「カトレア様から伺っています。お体に気をつけて後はお任せください。」


他の人の目があれば、騒げないでしょう?

まだ何か言いそうなのを、護衛の人達と共に去る。


「精一杯頑張らせていただきます。」


(バイバーイ)と心の中なでは舌を出し、お茶の用意を始めた。



こういう刺激も、素敵ね!


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