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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第四幕 北へ
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40-川と森

調査と言うのは、川の深さまで調べたらしい。

舟の通れる大きさを把握する目的で、各所に棒を立て深さの記録をしたそうだ。


雪のない頃に深さを測った結果と、雪で消える川の把握。かなり広範囲の調査だったようだ。


極北の城の行き来は、基本南から下っての道のりだ。大人数で川を利用できれば速く短い行程の移動が可能になる。


その分、川に近寄る魔物への護衛が必要になるが。それでも緊急や兵力の収集には開拓したいルートだった。


そして、“人族の国への国交回復”を掲げるものの、その反面軍への侵攻にも使える。抑止力であるとは説明されなかった。


川を流通に使えるとだけ聞いたセリに反応は…

へえ。である。


子供にはそこまで興味を惹くものもないだろう。


「狼の動きで見ると」

「何かから逃げてるとか?」


人が追いやった可能性。をセリは思い浮かべた。グスタフとキースが想定しないわけが無い。しかし、確証はない。



「じゃあ、僕も出ようかな?」


大人数での移動が検討された。魔物の群れに遭遇した時のつゆばらいと他にも魔法使いの戦力としてキースが名乗る出る。


(そろそろ私も歩いた方が良いのでは?)

当然にように近くにいるロードを見る。


セリを背負っていて、下ろしたところで平然としている。


これでも、軽いで済む年齢出ないと思うのだけど。獣人の体力をセリは測れていない。


ロードが魔法で戦うようなら、下ろしてもらうつもりだったが。背負っていても簡単に魔法を繰り出していた姿を見ると…


足を降ろせるのはもっと後かと半分諦めている。


そんな午後が暮れ始め、慣れた快適なテント生活から始めて団体での移動となる。


居残り組は、ライリー、ザイルとソラス。

拠点を守るようにと指令だが、「釣りでもしてますわあ。」


肩肘張らずに待っている様子だ。


護衛対象のキースが戦力のひとつだが、護衛は付けたいという組織上の都合で護衛の3人が加わる。目的地周辺の情報を3人から得られると思っていないが、戦力バランス的にも問題ないとこのメンバーに決定した。


そして翌朝。総勢、9人。

セリとキースもいるため最高速度は出ないものの、少しは調査した場所なので進みは良い。


軽やかに移動で、鬱蒼と森に入っていった。



「ここの先だ。」休憩ポイントとして、調査済みの地点に来た。


ここから未調査なエリアらしい。だいぶ北北東に来たと思う。


普段なら入ってこないエリアは、帰りに何か獲物を狩ろうと後ろで話している。


(なんとなく、記憶にあるような?)


グスタフの持つ地図を見せてもらう。


「東寄り?」

もし、ここがセリの通っていた狩場だったらこのルートで砦に戻ってた。

指でなぞるルートの先は、目指す『北の砦』がある筈だ。


しかし、ここからの森は迷いやすい。

セリの目印は、砦からの煙や色のついた狼煙で帰ったこともある。


「目印となるものがないと迷う。」


何か空にないかと見てもらったが、ないようだった。


木登りしようとしたらロードに止められ、代わりにビクトールがスルスルと登っていった。


ちょっと嫉妬がある。

私だってあれくらい登れるのに!


しかし、視力は多分獣人のが良い。そして落ちたとしても無事に着地できる。


セリだった場合、無事では済まない訳ではないが。

おそらくロードがとても狼狽える。


その想像がありありとできるので、セリが登る前に止めれて良かった。



違和感

「薪?」


そのために人が切ったような木々。誰かが生活のためにしたらしい痕跡。



山、その裾野が見える。

セリが走り出しそうな気配に、ロードが手をとる。


止めることはなく、一緒の走り出した。

ロードには小走りくらいだが、セリは足が速まる


山の裾のに同化するような色。


その左右見渡し、見覚えのある建物の配置。記憶に合うものの、人の気配がなかった。


火の気も、生活の痕跡さえ消えてしまっている。


「誰もいない?」


『北の砦』に到達したのだった。


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