34-待ち合わせ
「獣人の性質?」
お茶会は続いていた、なんだか授業みたいになっているが、年齢差がある大人と一緒ならそうなりやすいものか。
興味深いので、特に嫌なわけではない。
「人族にはわかりずらいかしら?まあ男女の差もあるわね。」
兎獣人のリリンは、渋い顔をする一方。カトレアさんは訳知り顔だった。
セリに思い付いた事柄といえば、ひとつだけ。
「べったり?」
接触の多さに、すぐに抱き上げるところなど。
その腕の中に入れておきたいのか?と思うほど度々で。竜人ロードの行動は、ほぼそれだ。それが獣人特有と聞けば、まあお国柄かな?と思っていたくらい。
年齢より幼い認定をされているのだろう。体格差がある獣人だが、人間のセリは余計に華奢に思えるのか。
最初の時の怪我や栄養失調気味なのも、保護欲を刺激したのだった。
「あるわね。獣人同士だと気にならない事も多いけど。」
「過干渉もよ!こっちの言う事聞かずに、“そうなるのが当然”ってすました顔で…」
リリンがちょっと乙女として危険な顔になったので、クッキーを差し出す。おいしいよ?
サクサクと食べたリリン。
(落ち着いたかな?)
何か色々とあったのだろう。血の繋がりがあるからこそと言うものもあると聞く。孤児のセリには分からない関係性だが、聞いた話だ。
「対応としては、あまり我慢させないことかしら?」
「干渉してくるのは、どうすればいいですか!?」とてもケンのある声色になる。家族は来れなかったと聞いてたので、親戚の兄との関係は難しいようだ。
「対抗できる味方を得たり、理屈でくるならそれを返せるよう
“理屈で返す”事かしら。」
カトレアさんの言いようは、先生のようだ。経験則なのだろうと想像させる。人生の先輩なのだなと関心した。
「腕力じゃないと面倒なこともあるわよね。腕の見せ所よ?」
その“器のデカさ”と言うのだろうか、大人の女性だと思った。
そうして、お菓子もお茶もたっぷり飲んだので。そろそろおしまいにしようと席を立つ。
片付け始めたカトレアさんに、自分でやるの?と思った。
以前は、女性がいた気がする。まあ私が聞く事ではないかなと思い、
「お招きいただきありがとうございます。またよろしければ…」
定型の挨拶を丁寧にした。
今回招かれた方なので、次回は私が“招く方”になるのが筋らしいけど。
今後の予定を考えると、実際難しい。
やれる事といったら、間を置いてお菓子を持ってくるくらいだろうか?
いつになるかわからない、北の砦への準備にロードも追われている。
周りは動いているが、セリは特にすることがないのだ。
(心構え?既にできている。)
変わった事といえば、雪の降りを気にするようになったくらいか。
何が準備がないか?考えながら護衛のカナンと合流した。
会議に出ているロードが迎えにくる。その待ち合わせ場所に移動する。
リリンとカトレアさんの2人に会わせると面倒な気がするので、避けた。
雪はそれほど積もらな苦なっている。
(そろそろなのかなあ)とカナンと雪を見ながら待てば…
すぐ来た。ぎゅむっとセリに抱きついている。
びっくり。
(待っていたりしたのだろうか?色々思ったけど、まあいっか。)
忙しくなっているロードを労りながら、グスタフの部屋を訪ねに行った。
「サクッと出発したいよね?」
お偉いさんには難しいことのひとつだ。キースは我が物顔でグスタフの部屋にいた。
広いので、居ても問題ないらしい。部屋主の許可はあった。
「あの“お見送り”は嫌。」
以前、外へ出かけた時のことを言っているセリは、キースとのんびり話をしていた。
いや、愚痴を聴いて過ごしたのだった。




