第15話 距離
図書館でセリを抱きしめる
もちろん潰さないように、本はどっかに置いた。
「ここまで、距離を詰めるな」
ロードは、その傍らに居た護衛を引き剥がしにかかっている。
(本をとるとき便利だったけど、ロードが手伝ってくれるかな?)
殺気めいた圧と、冷風で遠ざかるカナンが抗議する。
「ちょっ、遠い!」
「お前なら問題ないだろ?」
ロードも庭で見たのだろう確かに、あのスピードを出せればあの距離でも
直ぐに近づけそうだ。
図書館で騒がしいがそろそろ昼食の時間で、他に利用する人はいない。
(巻き込まれたくないが本音)セリは大人しくしていた。
「見張ってるっていう体がいるの!」
護衛と言ったが、そっちが主だよね。
まあ年齢をバラしたから幼い子の演技は止めるけど。
(まだどこから来たのかは行ってない。)
孤児院に帰りたいのは確かだけど、なにが障害になるか分からない。
ここも一枚岩ではない
慎重に動きたい
戯れていたロードに移動しようと促し、カナンも後ろから着いてきた。
少し、離れているのが可笑しい。
昼食を食べに、子供たちのところへ
栄養と体調を考えて作られ、温かな食事を賑やかに食べる。
2人は別室で待機になった。というのもさっき、一悶着あった。
ドスドス音
「ティラス、元気か?」
「セリ!」
9歳の虎の獣人だ。私より体格が良い。
「ちゃんと皆んなを退避できたんたぞ!お前は何してたんだ?」
咎めているわけじゃなく、心配してくれている。
「庭の氷柱を見てた。」ロードの暴れた時の話だ。
「お前も抱っこして走ってやったのに」
「そうか。非力だから助かる」
小さい子の退避を手伝えたようだ。
えらいえらい。
ロードが睨んでいるは、
抱き合うのが気に食わないらしい。
子供だよ?ハグの文化らしいので抵抗はない。
「…怪我はだいじょぶか?」
「もう治ったよ。」
「セリに、怪我させたのか?」
ゴゴゴと言いそうなコワモテに、ティラスの尻尾が内巻きだ。
(レアだな)と横目で見つつ状況説明。
「判断を間違えたの。魔法使って
ガードするか迷って、失敗した。」
力加減が難しいのだろう
人間の子より力も強く体格が良いから気をつけるのは私の方だ。
「オイ!子供に冷気送るのはやめとけ」
カナンの静止に、2人とも別の部屋で待機する事にした。
2人が出た後は、空気が弛緩する。
子供達にも緊張があったようだ。
(体格も良いし威圧感があるのかも。)
そんな事があったけど、直ぐに食事に移り今はそっちに夢中だ。
セリは
昼食を取りながら、番についてきく。
御伽噺にもあるので子供達に話題をふって、情報収集。
「運命のつがい!」
「旅に出て探すぅ」
「番の人を触っちゃダメ」
「らぶらぶになるんだよ。」
(女の子はおませだなぁ。)断片的な情報だけど
婚約者というより、ひとっとび奥さんだろうか?
食後は昼寝の部屋へ移動。
私はここで別れる。
2人と合流し
「昼寝の時間に添い寝しようか?」と本気で言ってきたロード。
子供じゃないんだから12歳に添い寝って…
「要らない。」と答えた。




