第14話 兆し
変化があった。
ロードが昼食後のセリと面会を希望し、通った。毎日会うようになる。
その他にも決定があったようだけど、議長の保護は継続。
それだけでも、今の日常は続けられるだろう。
ロードは午前中に仕事を終わらせて来るようだ。
私は昼に子供達のところで食事をするが、ほとんど図書館に行って過ごす。その日も図書館へ行こうと準備して出るところだった。
ナナン医師と、見た顔の男だ。
「今日から護衛にあたる、カナンだ。狼の獣人だからな?《《よろしく》》。」
“根に持ってるの?大人気ないよ”
とは、口には出さなかった。
「そう。よろしく。セリです。」
“これで見知らぬ変態には、ならなくなったね?”
というのもやめておく。多分、気にする《《お年頃》》だと判断した。
「セリちゃん、どーぞ?」
道を開ける大仰な仕草をされ、図書館に向かった。
(姿が見えるだけマシかな)少し後ろに着いて来る狼獣人、カナン。
コソコソどこに居るか探すのも面白かったなー。
(見回りの人に尋問されるのも面白かったのに。)
今回、医師の紹介があったのは、命令があっての任命を受けたらしい。
堂々と尾けられるのも、すぐ慣れそうだった。
一方、
ロードはウキウキしていた。
昼の面会が通る。セリに会える!
今回はいつもの子供と食事するセリだが今後はセリと昼食を一緒にとり、
部屋にも来てもらって、
(夜も…!)
だが、寝る部屋の移動は許可されなかった。
「面会は行われるべきだが、医療棟から出るのはまだ時期尚早だ。」
議長の決定に、反論する。
「俺の部屋のが色々充実している!」
迎賓用の部屋は広く、従者の部屋や軽い食事なら準備できる。
何より、セリと居たかった。
「人間は弱い。まだ回復したとは診断されていない上に急激に環境を変えると体調を崩すらしい。」
「それは、駄目だ!」セリの健康が優先だ。
「あの騒ぎだったからな、護衛をつけることにした。」
「ああ、庭のことか。ちゃんと氷は溶かしたぞ?」
直せば良いってことじゃないんだが。
「セリの存在は獣人社会の中で危うい。人であることで、嫌悪する者もいるが、お前に番ができたのも注目されているんだ。」
「どうでも良い。」
竜人は強者だ。獣人は力ある者は崇拝に近い感情を持つ。
番至上主義とも聞くが、変わりすぎだな。
「夜は、セリを寝かせつけるまで居るからな!」
そう言って出て行った、実行するんのだろう。
ロードを止めるのに力技は、ほぼ無理だ。
セリを人質に取るような行動は、より不味い。この辺一帯が壊されて、軍が崩壊するだろうな。
それほど竜人の怒りを止めるのは、無理がある。逆鱗に触れることのないようにしなければ。
獣人の一部には、人間と番うのを反対する考えがある。
この冬を越えるまでに不穏なことが起こる予感がしていた。
あれが恐れられた“氷の竜人”とは思えないのもわかる。
その侮る奴も抑えなきゃいけない事に、議長の頭が痛んだ。




