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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第四幕 北へ
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20-成長

「だからー、セリちゃん男にすんなり触っちゃダメだよ?」

「なんの話?」


何やらカナンがセリとしている変な話に、昨日何かあったのか新しい護衛が3人来たのは聞いている。顔見知りだから問題はなさそうと情報が頭を過ったシュルトが、割って入った。


「セリちゃんのボディ〜タッチの件について。」

「手が出た」


カナンの言い分はわかったが、セリ。それは意味が。暴力的な事を、か?

「頭、撫でた。」


言い直され、状況は分かったものの…大の男にするにはシュールか?

ロードによくしているのだが、慣れって怖い。


突っ込みは頑張ろう。

同じ結論にいった大人2人。今日はシュルトもいるため、カナンも心強い。


そんな大人の事など知らず、また褒めることがあれば撫でる予定だ。外でやらなきゃ良いかなくらいにしか考えていないセリ。


少しは大人のプライドも考えている。子供でもその辺は大事なのだ。


「グスタフも来るかも」とシュルトの言付けがあり、セリに予定は未定。来客を待つ事にした。


「昨日は何してたの?」


「北の砦での話をして、あとは本を読んた!」


シュルトが心配したその声に陰りはない。セリのいた砦での暮らしぶりを話してくれるが。決して子供には優しくない環境だと思っている。


“極寒の地で、子供が、独り”でさえ、事件めいているのに。


セリに気負った様子はないが、注意深く聞いていこうと思う。


後からの自覚に、ショックを受けることもあるからだ。

基準が違う、普通の日常が過酷だったと。


セリはまあ、『そういうものか』と流してしまう可能性も考えたが。

どうも無頓着な気がする。性質なのか環境か計りかねる。


シュルトでも難しかった。


ロードとの仲。進展という言葉はないが

振り向いたり、名前を呼び寄り添う2人に平和を感じる。


子供に模擬戦への参加はやり過ぎではないか?との意見が後から来た。

兵士見習いであれば、未成年な子供もいるが。


模擬戦で見習いを出す事はない。

その混乱に早期の決着をつけるための模擬戦だったが。終わった後の熱気と、子供に出させた罪悪感を感じる者も出てきたようだ。


(まあ、これが平常カシラね?)


今までが少し、過剰な反応だったように思う。やっとこの『極北の城』で普段通りの過ごし方ができると思いきや…


まだ何かしでかす、始めるつもりのようだ。



「3人と話せたちぇ、オレのが良いよねー。」


狼獣人の変わりようもその一つか。

戯れの言葉も、構ってほしいに聞こえるのは気のせいか。


ほどほどに、ロードが怒らないラインを引いているようだが。セリを膝に迎えたロードが、カナンに確認している。


「あいつら、ビビってて使えるのか?」


「“セレナーデの騎士”は、実力も経験の方もあんだよ」

貴人やその家族の護衛は、特別な騎士が担当する。


セレナーデはそのひとつだ。


セリの扱いが変わったという事だろう。良い影響だ。


「竜人じゃな?」

「狼でもだろ」


意外と、仲が良さそうに話す。そのロードの下のセリが視線を投げた。


「シュルトは、カナンとロードがコワイ?」


質問が直球すぎてわからなかったシュルトに説明したが、セリと同じく自覚はないようだ。

『獣人特有の感覚』



「獣人ってだけあって威圧感とかカシラ?」


「魔力は?」

人間の魔力操作や保有量は、獣人以上とは一般の説だが。


「威圧感に必要なのは、量より質って聞いたワ。」


魔力量があれば…

「おっきく見える?」


セリの背は伸び止まってはいないが、ここにきてとても小さいと感じる。種族の差が大きい上に、栄養不良気味だったセリの期待値はまだある。


「んーちびかなあ。」

「大きくなるさ。」


勢いのないカナンとロードの言葉があっても、まだ成長を望む年頃のセリだった。


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