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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第四幕 北へ
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10-訓練の相手

セリの希望、兵士の助力は得られると言葉はもらったが、

実際どう動くかは調査、編成の必要があるため、

待つしかない状態。それに外の様子からすぐ動くには難儀する雪深さだ。


その事には慌てていないものの、他はどうなのか?

カナンは報奨になったのか疑問だが、楽しそうなのでまあいっか。だって…


「暇つぶしに最高の環境だぜ?」


「護衛は面倒ごとのが多いって」その筈。


「上手いもん多いし!風呂付きで、高い酒と肴付き。

セリちゃんと居ると、退屈しないぜ〜。」


食事、酒狙いと“なんか起こしてくれそう”との期待。

トラブルメーカー扱いをされているの透けて見え、セリは不服に思った。


(私のせいじゃない。相手が突っかかってきている。)


機嫌よく動いたカナンの尻尾を見て、ほっこりしたが。

当てつけに、耳を見ながらロードの褒賞がどうなっているか聞く。


「ちょい条件がついたんだ。他の獣人との交流が予定されてて

訓練場に呼び出しとぉ、」


なんか、招待が増えたらしい。ロードにくっついての事だが、

行動範囲が増える予感。


「セリちゃんも一緒に行動になると思うよ?」


確定。

セリを知らないものへの紹介は模擬戦で済ませたが、まだ危害を加えないかの不安はあるらしい。まあ、徹底的にロードの怖さを思い知らせる事になるだろう。


“体にな”

と言っていたロードの魔力でその場が、ひゅおっと寒くなり、

尻尾がヒュンと内巻きになったのを誤魔化したのは最近だ。

そして複数人そうなった。


(あの魔力にも、性格にも馴れてきたなー。)

見た目の印象と、口数の少なさ。竜人の存在感は畏怖してしまう。

それが、番持ちになれば、わかりやすい。


全てが番優先で、至上主義。

その傾向が色濃い。まだ暴走していない方だという見解だ。


「その他、セリの教育面での先生を第二夫人、カトレアに依頼すること。友達誘って、授業って形になるんじゃない?」


獣人の文化を知っていた方が、トラブル防止になりセリを守る事に繋がる。


「友達。」

繰り返された声に、セリちゃんは誰を思い浮かべているか。

“誰まで入っているか”、把握はできている。


関係性を結ぶのに、自覚を持たせないようにしていた。

そんな圧力、ストレスだろうと配慮も結局…


(大人の事情だよなー。)

守られていると同時に制限を受ける。その立場を労わる意味で、

ぽんぽんと撫でる。


そういう接触があると、着替え終わったロードから

「近い」と排除されるのも慣れたもののカナンだった。


装備をして、移動だ。


地下訓訓練場にて姿を見せるのも、報奨へつなげるセリの環境改善の一環活動。その第一回目が早々に行われる。


まあ、まだ試合の印象が強いうちに。

歩き回れる範囲の拡大、セリの性格や立ち位置を認知させる。


(部屋に閉じ込めておけるか?)

ロードは願望として、番の囲い込みをしたいし

可能だが、“セリの思う通りにさせてやりたい。”と結論を出した。


セリが興味を示したマーケットへ行くのも、警備上の都合上行けなかったし、医療棟への面会も少なくしてもらった。



過去あった、セリへの“市民への攻撃”。違反事項なのだが

どこにでも、バカはいる。


『新兵だから』で、城が壊滅的になる・できる力を持つ相手への喧嘩を売ってるんだぞ?

『洒落にならない事になって気づくなんて、巻き込まれる方はたまったもんじゃない』


そう言った兵士に、皆同意していた会議を思い出しているうちに

地下に到着。


セリは見学。

兵士達の視線が刺さりに、刺さっていた。


模擬戦での注目度、その力を示した人族をこの目で見て


好戦的な視線、まだ懐疑のある眼。

物珍しいものを見ている興味。


その全員に、竜人の魔力がヒュオっ!とひと吹きして身構えたのは、兵士として相応しい反応だった。


“何見てんだよ、こっちを見やがれ”

と挑発的だったからかもしれない。


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