9-報奨
「僕はもちろん。顔パスだよね?」
昼食をとった後、部屋にキースが来ていた。
扉の前の護衛2人に驚かれたが、本人は気にせず入室してきた。
催事も終わり、呼ばれた方なので後片付けもない。
(実は暇?)
…と思ったが、『指摘すると可哀想な人もいる。』
そう覚えていたセリは、沈黙した。
“言わない優しさってある”
「セリの報奨の件でね?」
食後の紅茶を飲んでいたセリの目が興味で光る。
「どうなりそう?」
すぐに決まると思っていない。
議会の承認に、会議を何回かしてやっと決まると思っている。
さっさと動きたいは、組織ではない事なんだって。
気になる。
作戦との合同になりそうでね、その話をしに来る
来たではなかった理由。
「いいか?」
グスタフが来た。
だいたいの地図だ。
特徴的な目標になるものの描かれた地図。
魔きにならないよう監視、観察するために作られた。
森が広がっているため、道はほとんどないようなもの。
距離と方向が書かれている。
ほぼ森の位置に、グスタフの指が動く。
ここが極北の城。
川が距離にわたって流れている。こっちが上流だ。
セリの
は見覚えのある場所がないか、思考を巡らすが
今のところ思いつく場所はない。
この位置での探索は、ほぼされていない。
「どうしてですか?」
「戦闘にならないためだね?」
人族の優勢範囲らしい。
「北の砦は山の裾。」
「ではこの辺りのどこかか。」
書き込みされた。
広い上に、特定するには至らない。
方角。
教会より、北の砦を探す方がまだ目安がつくか。
「セリ、焦るな。」
ギュッと握られていた拳を解かれる。
ちょっと爪が食い込むほどか
これくらい別にと思ったが
舐めるぞ?
それはさせたくないかなと思ったので、気をつけると約束した。
議長と協議した結果、この辺りに魔木が発生しているかもしれない。
「調査の依頼だね?」
なぜ、キース様がいるのか。
僕も参加するよ?
魔法が使える人がいるのは心強いが
「え、ダメでしょ?護衛何人いるんだ。」
「お忍び?」
「え?その場合、責任者オレじゃん」
「ごしゅうしょー様。」
シュルトに慰められている間。ロードが質問する。
お前らの目的は、魔木なんだな?
「そう。先立っての調査って感じかな?
寒さで非活性化していると見てるけど、雪解けに本格始動できるように
調査は終えておきたい。まだ場所もわかっていないからね?」
「あるってのは確実なのか?」
「痕跡は見つけた。今ある木のものではなく、きのこの胞子に付着して遠くから風か川で流れてきた。それを小さな魔物が運んだと思われている。」
「それを見つけたのがセリってね。」
それは初耳だ。
木の実の中にあった。
そこは専門家に任せる。
北の砦には行くの?
作戦では、内通者に会えばいいんでしょ?
協力はする。武力衝突を起こさない程度にね。
僕にその決定権も与えられるよ?
いい方向にに向かっていると思う。
帰れるとは思わないけど。顔を見たいな。
雪の季節は過酷だ。
それを知っているセリだから、外へと出るタイミングも少し読める。
準備して、でたい。
再び雪の降り積もる時期になれば身動きが取れない。
そのもどかしさのために、焦るセリを
なんと宥める。
ホームシック気味なのか、憂い顔の番に
かかりきりのロードに、
カナンとシュルトは物でフォローを入れる。
気が紛れれば良いかと、グスタフが手持ちの事典を貸してくれた。
「食べれないキノコとその食し方?」
矛盾のあるタイトルの本に夢中になるところは、子供っぽいなと見られていることなど気づかないセリだった。




