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捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?  作者: BBやっこ
第四幕 北へ
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8-護衛担当

情報部の部屋にて。


「移動届け?!」

「第二の情報部から、護衛担当。」


「アイツ、どうしたいんだ?」

馴染まない、変わり種扱いのカナンだった。

犬獣人が多い中での狼はより異質に見えた。


特に、番の問題の尾を引く狼獣人は距離をとられた。


「人の子の護衛に、貴族の必要もないが。」

それに、増員を予定していたから問題はない。


人員の調整をしている中、舞い込んだ要望書。

報奨でもあるため、ほぼ決定事項だ。


候補には、騎士を含めた編成で、アレクセイがいる。セリの知り合いであり、最初に名乗った騎士でもあるが、その事を忘れられている。


“セレナーデの騎士”は、護衛を担当する。

貴人の警護、付き添いから特別名前を授けられた1人だ。


衛生士と荷物持ちだろ?

小柄な犬獣人とクマ獣人がセットで評判が良い。


一回遭難したが、それも彼らに落ち度はないと判断された。その時に、人の子と会ったらしいとは調書が取れている。それがセリであると分かった。



「竜人に与するのか?」

「あれが、か。」


得体の知れない男と言われていたカナンが、情報部に願い出た意図が読めなかった。


犬獣人は群れでの生活に馴染みやすい。

狼は群れに従うか、孤立するものもいる。


「竜人の番と認められた子供。執着の強い狼。すごい布陣だ。」

そう話をして、処理を進めた。



「じゃじゃーん!似合う?」


ロードとセリの前に、カナンが現れた。

その格好が騎士服に似ている、色違いだが。


「服が変わってる。」

「そっ!オレ、護衛隊長だから。後、知った顔の3人でとりあえず回すわ。」


軽い言いようだが、大出世か?

実際は、“小”出世くらいだ。しかしデリケートな竜人の問題なので押し付けられている面もあるが、カナンのポジションを利用しない手はない。


本人も望んだのでやり易い。


「部屋に入ってくるのか?」ロードが嫌そうに問う。これ以上、番の近くに人を彷徨かせたくない。


「いんや。オレは近くで護衛だけど、他は扉の外で待機にする。それと移動の時な!」


その移動方法なら、模擬戦に行く前の状態だろうとあたりをつけた。


「部屋の出入り、物にも目があるから。変な商人なんかも弾けるぜ。」


それは嬉しい。素直にセリが喜ぶ

「偉いっ、頼りにしてる!」


尻尾が気になりつつ、カナンに抱きつこうと思ったがセリは身動き取れなかった。ロードが阻止だ。


「あの3人か。セリに近づこうとしないだろうな?」


「大丈夫だろ。3人とも結婚もしくは、婚約者がいっから。」


「お前は?」

「いると思うか?」


「近づくな」

「隊長なのに?!セリちゃん、なんか言ってやって!」


「もふもふしたい。」


ロードとカナンも黙った。



しばらく止まったものの、ロードが手持ちの毛皮を取り出し始める。

「さらさら、ゴワゴワ。」


セリが頬擦りして確かめ、仕分けしていく。


「するなら毛皮にしてくれ」とロードに頼まれ、部屋に毛皮が積まれていく。


「入るわヨ〜」


商人であるシュルトが、揚々と入ってきて一言。

「宝の山ね。」


そう、換金すればひと財産な魔物の毛皮。それが商売しているように広げられているのについつい、目利きをしてしまう。商人のさがか。


今日から部屋の前に護衛が立っているが、

シュルトは顔パスだ。


「他には、グスタフとキースもな。」


酒を呑んだ仲なら、呼び捨ての関係になるのカナンは気軽に呼んだ。

よく部屋に来る、メンバーが入ってこれるようになっていた。


セリへの影響を考えての処置だ。


「議長は?」

「あの人は、ちゃんと人を寄越してからくるから。」


顔パスではないのかな。


偉い人がそう簡単に来ないと忘れているセリだが。

キースも偉いと言い切れないので、誤魔化したカナンだった。

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