第13話 情報
「馬鹿じゃないの?!」
つい、セリは本音が出た。
子供に大砲の発砲許可を渡しているの?
大砲って、この男だ。
「本当だ。この地にいる中で5本の指には入れられる強者だ。」
庭にできた、あの見事な氷柱を思い出した。
魔力量、その速さと強度。
あの身軽さと疲労をカケラも感じていない様子に、強くないとは言えない。
「その力を持った人間を!隣国の教義に染まっていないと?」
獣人の排斥の事か。正直知るか!って思うが貴族の層は染まりきっている。
下っ端兵たちは敵国と認識しているだけでそれ程でもない印象だ。
「閉じ込めるか、監視をつけるべきだ。」
(その役目が犬の人か。)セリは、チラリと黙っている男を見た。
「それを私は反対しただろう。まだ子供だ。」
「そう言うが、いくつなんだ?見た目通りの年齢とは思えない!」
議長と西の長の言葉を聞きながら、考える。
兵力を手にしていると思われてる?
ただの幼い子供だったのに。
「さっきの暴れっぷり見ただろ?」ポソリと告げられる男の声。
その瞳は私を試しているように見る。
私に会えなかったり危害を加えると
ああなる?
止められる人が少なく、現状、私に制御が任されるている?
そんな危険を子供に持たせないでしょう。
「番として、自由に学ばせる。」
「番候補ともども、保護施設に入れるべきだ!」
あれ?すごく重要視されてる??2人のトップは議論中。
(交渉に使えないか?)
年齢はそろそろ簡易の鑑定でバレる。なら…
「情報を渡すから、保護と保障をしてもらいたい。」
セリは、幼い子の演技を止めた。
ロードという存在を交渉に使う。
(怒るかな?)見上げたロード。
その瞳は、興味だ。
「やはり。幼な子ではないか。何者だ?」
西の長は牙が見えるが、あまり怖くない。
不機嫌でグルグル言ってるけど攻撃は考えていないのかな?
安心安全のロードの側だから?
あまり調子に乗るのやめよう。
大砲に部屋の中で暴れて欲しくない。
「保護の程度で、情報の開示をする。」
冷静に言ったセリは、議長を見た。
私の今後の決定、どうこうするのは、この人だ。
「年齢を知りたい。この城に居る間は拘束しない事を約定しよう。」
「どうやって?」
ヒラリと紙が動き、魔力による光で魔法の書類が作られた。
「議長によるサインを破棄するには、次の議会で半分以上の承認がいる。
次は、雪解けの頃だ。」
時間稼ぎには十分か。捕縛されなければ抜け出しやすいだろう。
「12歳。」
ぎゅうううっと強くなった締め付けと
匂いを嗅ぐロード
(何?なんか気に食わないの?)
「やはり、幼いな。」
「後3年で成人ではないか!」
議長、いくつなんだろう。
獣人の成人は15歳か。
国では16歳が成人なんだけど。
「監視は必要だ!」
「保護もな。」
「7歳で農耕の本は、ないわな。」
馴れ馴れしくなった男との距離が近い。
ロードが抱え込んだことで身動きが取れないセリは思った。
(早まったかなぁ。)
逃げるのが難しくなってる?
そうと気づくのは雪解けの頃だった。




