第12話 危惧
一緒に来た監視の男は陽の下でじっくり見た。犬の獣人とおもっていたけど。耳と、尻尾があり、瞳の印象は狼だ。
犬の獣人は、いろんな人がいるからよく知らないけど。
「誰の命令だ?セリの保護はあっても、監視は許可していない。」
議長が問う
(さあ、背後を吐いてもらおうか。)私は口を挟まない。
問われた本人は冷気が送られて寒そうだ
その発生源はセリの匂いを嗅いでいた
??
とりあえず無抵抗でロードの様子を見つめる。
苛々している?
あー、不安に思ってる。
(馬ってこういう風に不機嫌を表現してたなあ)
「ロード」名前を呼んで、ナデナデと髪を触って落ち着かせる
(これで落ち着く筈。)
少ししてナデナデしてた手からスリスリと頬擦りになる。
馬みたいに表情はあまり変化しないけど、瞳の奥が柔らかくなった。
「手懐けられてんじゃねーか。」
言葉を発しなかった男がこっちを見て言う。
「お前は誰の手のものだ?カナンと言ったか。単独行動していても命令があるだろう?」
そういう任務につく人、か。
「犬の人だね!」
「犬?狼だろ」ロードは、ぱっと見で狼と犬の違いがわかるらしい。
「“誰かの犬”って言わない?」配下とかの意味で言う。
「ふっ。そうだな。」おもしろそうな笑いとともに撫でられる。
(うーん。小さい子の扱い。)
セリを撫でる手は小さい子に向けたものだった。
「アレで分かっただろう?番の相手ができたら、獣人は変わる。危険だ」
「確かに、“氷の竜人”の話が嘘に思える。」
ロードのこと?
話がズレていってるのは、任務については話さないためか。
コンコンッ<ノック音>
「西の長がいらっしゃいました。」侍従の声がして、
すぐ入って来た。
「庭の魔法のことで来た。」
現れたのは獣人。立髪がふさっとある獅子の顔。
「わざわざか?」
議会に出るほどの人が、庭での魔法くらいで来る?
このタイミングで議長に会いに来るのは…
(黒幕登場かな?)セリと目線が合う。
「何故いる。」“人間ごときが”って顔
「私が保護している者だ。問題ない」
やっぱ議長預かりなんだな私。
「子供は帰った方が良いんじゃないか?」
言葉少なかった男がセリに声をかける。
援護が来たから、退場しろってところ?
“嫌だね”と直接は言わない。
無邪気に見えるように、ロードに教えた。
「知らない人と
後をついてくる変態とは喋っちゃダメなんだよ?」
「くっ」笑い声は議長だ。
にこやかな笑顔が“変態扱いかよ”って顔になってる。
耳がしょげて、笑顔の仮面がハズレかけてるよー。
「大いなる力が手に入った人間の愚行は証明されている。この子どもがそうでないと言えるのか?」
はい?承諾でははく何言ってるの、幼い子(演技中)に。西の長さん??
意味がわからない事の補足に議長が言った。
「セリ、君は街ひとつ落とせる大砲を手に入れてしまったんだ。」




