第11話 暴走
夜、抜け出すのは怒られた。
今後もっと寒くなるのも理由のひとつのようで
しばらくは大人しく…とは、ならない。
着込み、
追いかけてくるとわかったものの
図書館の中に入ってこなくなった。邪魔にならないのでほっておく
本のタイトルで疑念を持たれたくないけど。
地図、農業、魔法理論。子どもが読みたがるものじゃない。
(まあいっかって気もするし。)
そこは成り行き任せだ。
セリの日々は変わらなかった。
特筆するなら、面会がないくらいだ。
(まあ色々あるんだろう)
そういえば、私の持ち物ってまだあるのかな?
服は身につけてたはず、治療の時に処分かな。
他もボロボロになってた。
あの格好で兵士を疑う事はないかも。古い戦闘服は低価格で売りに出されて防寒で着てるとかあるし。孤児院でも使ってた。
生地が厚いし、ビリッと破れてるのは繕えば使える。
子供すぎて兵士と思わない可能性が高い。
それも鑑定されれば追及は逃れられない。
まあ今も犬の人がついて来ている。
(隠す気なくなって来た?)
私が気づかなくても見回りの人が声を掛けるし。
幼女を追い回す男なんて怪しいよ。
そんな午後に
チュドーーーン!<派手な音>
昼寝の前だった。子供達を避難させこっそり、様子を見に行った。
「セリ!!どこだ!?」呼ばれているようだ。
ロード。
あの暴走に近づいて大丈夫か?様子をみるのに、
“目立たなくなる魔法”を使って身を隠して近づく。
庭がめちゃくちゃだ。
「人間を番にするなんてバカらしい!」
「獣人の長である自覚はないのか!?」
獣人の兵士だろう
私が番なのは、気の迷いのせいにしたいらしい。
(妨害してたのかなあ。)
流れで吹っ飛んできた氷の魔法にセリは、防御の姿勢をとる
ーが、自然と軌道がズレた。
犬の人が前に出ていた。
「ん。」差し出された手を貸してもらい、立つ。
「セリ!!その手を、離せっ!」
隣にいた男が、怒気にパッと離れた位置になる。危機を感じる勢いだったね。
ロードに接近され、ギュウウッ!っと物理で絞られる前に挨拶をする。
「久しぶりに会えたね。元気だった?」
ピタリと止まる
冷気、怒気、ロードの動き。
ふわっと機嫌よく笑うロードの顔があった。
「俺のいない間、何してた?」
「ほとんど寝てた。もしかして来てた?」
寝てたら気づかないし。すれ違いになってたかと思い至る。
「・・議長に会いに行こう。」
突然の提案だけど頷けば、
抱っこのまま歩み出したロード。
足をぶらつかせて
ロードの後ろに見える庭の崩壊を見る。
(戻すの大変そうだなあと見ていた。
鋭く尖った氷柱が生えていた。
ーーー
「はあ。妨害があったようだな」
執務中の議長の部屋に突撃し、今はお茶を出されている。
議長の決定、許可があった面会を“私が拒否した”として行われなかった。
強行に会いに来た男は
ちゅっ、むぎゅっと座ってもセリに構っているので、落ち着いてほしいと思うセリだった。




