番外編 対戦相手
ここは、オッサンの守備範囲だもんな。
軍には犬獣人が多いが、その中でも声がデカい。
この城の守備隊長と言ったところか。
槍の名手だったけ?
その真っ直ぐに突っ込む勇猛さが有名だが
要領の悪い、頑固者扱いされている。
新兵を任されているのは、魔法と弓矢の
城壁での防衛を想定している部隊。
本人は槍とか投石が得意なんだよな。
その豪快さは、体格の良さと筋肉質な体躯に現れている。
面倒見も良いオッサンだ。
オレにもよく話しかけてくる
“群の意識”か。
オレはそれが嫌で、こうなんだけどなあ。
任務も楽だし?
キビキビと動きは、それが正しさを体現しているようで。
まあ。強硬派と対極かな。
あーあ。
セリちゃん、びっくりしてるじゃん。
声でけえもんなあ。
でもって軍人らしい生活。
下の奴らをしっかり教育できるだろ。
そういうとこは、しっかりしている。
「戦いには手は抜かん。」
「へーへ。わかってますよ。」
ロードに対する危機感はマシな方かな。
融通は全くきかねえけど。
逆に楽。
セリちゃんは、ロードに任せといてちょいと確認。
「やっぱ、模擬戦の相手って…。」
「俺だ!!」
声でけえ。
耳が良い種族な筈だけど、大丈夫か?
周りをチラッと確認したが、魔力で防御すれば良いか。
新兵もできている。
コレのお陰で、この部隊防御力上がってるっていう
…訳じゃないよな?
臭いに関してはできないから、困るんだが。
弓矢と魔法を使う奴が多いと器用なやつもいるんかねえ。
身体強化と防御は必要になるガンバレ。それを見送って言っておいた。
「えー適当にやろーよ〜」
「そんな訳にはいかん!
この模擬戦は、この城での成果を、日頃の訓練の結果が…」
堅っ苦しい〜
これでも、部下には面倒見の良い上司で済んでる…
時もある。熱血過ぎて煙たがれるのもあるが。
良い人って言われるタイプ
子持ちで、セリちゃんにもそれほど嫌悪感はない。
人族への私情より、『この城にいる者を守るのが私の任務だ!』
と一貫している。
『子供を外へ許可を出しても良いのか?!』
と声をあげていたのもこのオッサン。
心配と規律では、規律の方に重きがいくかな。
「ここ、借りてもイイ?」
「申請は受理している!こちらに気にせず使えば良かろう。」
「オッケー。」
この対応でも文句はないらしい。
「なあ、オマエはあの人間の子を守れるんだな?」
オレの力への不信か、
単なるお節介なトコかわかんないけど答えはひとつ。
「まあ、やり合えばわかるんじゃない?」
へらりと笑えば
挑発される奴が多い中で、このオッサンは冷静だ。
「ならば手加減しないぞ!!」
「へいへーい」
熱苦しいけど。
そんな熱血な戦いを繰り広げる予定、ないんだけどなあ〜。
視線をセリちゃんの使っていた的に移すと…
しっかり、当たっている。なかなか遠い的で鍛錬に使う用的。
新人の枠ではないなあ。いい腕してる。
模擬戦も新兵となら良い筋行くわ、これ。
魔法の練習にうつるようです。
「的をソレ用にしましょうかね。」
しっかりと働いているオレなのでした〜。




