第十八話 昼食会
議長から、次はロードとセリを招き、昼食会の形がとられた。
移動した先の部屋は会食用に準備されており、キースとグスタフも参加し、先に来ていた。
知った顔ばかりなのは、セリへの配慮と思われた。
カナンは護衛の1人として壁側に控えている。
静かに黙っていると騎士に見える。普段と違う調子に落ち着かないが、公の場の扱いなのだろう。
議長とシュルトも席に着き、セリも椅子に座れた。
セリの背に合う高さで用意されていたのだ。
子ども用の椅子だろうと、セリは嬉しい。反面、ロードは不満そうだが。
久々の椅子は、高級感のある柔らかさでしっかりしていた。
今回は諦める他ないらしいロードだが、すぐ横の席でどんな料理か
量はムリしていないか?世話を焼いていた。
(コース料理は慣れないなと思いながら)
上品に載せられた食事を完食していく。
セリ用の量という訳でではななく、少なく上品な昼食らしい。
シュルトから聞いていたので、落ち着いて対応できた。
マナーも習ったのを思い出しながら進める。
議長とキースの話をなんとなく聞き、工夫が凝らされた食事を楽しむ。
魚もあった。
(どこで獲ったものだろうか?)
綺麗な桃色のソース
プチっとした歯応えの卵(魚のものらしい)
花の形の生ハムに魅入って、フォークで刺した。
(食べても美味しい!)
セリは花が咲いたように喜んだ。
食事も終わり、お茶が出た。
ふわっと香ばしく、黒っぽいお茶だった。
食事を楽しんだセリは、余裕が出て辺りに目が行く。
じっくりと部屋のシャンデリア、鏡や花が生けてあるのを見る。
この地域では高価とされていて、これ程立派なのは見たことがない。
孤児院で、造花を作って稼ぎにしていたのを思い出している横。
ロードがセリの視線を寄越したものの購入を検討していた。
それを察知したシュルトが、セリの負担にならない程度に抑えると決心しているのは、
もう慣れた光景になっている。
仕事の話なのか、話題は尽きないがセリはあまり興味を惹かれない。
少々退屈になってきたので、(そろそろ部屋に戻るのかな?)
と考え出したところで…
コンコンとノック音に、確認に向かう騎士。
扉が開かれ、3人が入ってきた。
先頭はオレンジ色のような立髪に、丸い耳があると思う。
背が高くて上の方は見えない。
獅子の獣人。クロウの父親と思われる人だ。
その後ろにつく人には、長い耳が見える。
兎獣人の特徴なので、リリンと親戚のお兄さんと思われる人。
知った顔。犬 獣人は、ビクトール。
セリと砦で会っている3人のうちの1人。
(なんか変な組み合わせ)と最後の1人で思った。
偉い人が、偉い人達のところへ来る意味。
騎士達がいる中で行われそうな状況に、少々セリが緊張する。
“飛び火してきそう”な
団長とその副官
それに、衛生士の訪れに何か起きそうな予感がしたのだった。




