第十三話 砦情報
訓練場ではしゃいいだので、少々疲れたセリ。
そのちかで酒のせいか、元々の性格か声が大きい
「魔法の保護で、ぶっ放しても問題ない!
魔力はエルフでも、構築はドワーフが一番だ!」
自慢話とキノコの消費が比例していく。
演習でも魔法で傷つかないとは…ロードの氷の魔法も?
「戻すの誰だろうな。」
壁が凍るのを溶かす人が必要になる、かなりの高出力の魔法の使い手。
銀髪の高貴な顔が思い出したが、ニッコリ笑顔が怖いので
雪を溶かす魔導具なら可能だろうか?
もぐもぐと食べながらセリは考える。
「対抗戦で整備が必要でなー。」
ドワーフはここに来たばかりの頃会議室で会ったような。
もじゃもじゃだったから印象に残っている。
逆に言えば、もじゃもじゃしか記憶にない。その後のロードの印象のせいか?
「採掘して洞窟を作るのがドワーフの修行だあ。
旅から旅の暮らし、通るところで造っては、出て行く。
魔法が切れれば崩れるだろうが
建物なんて人がいなくなれば、朽ちやすくなるもんだ。」
ロードとカナンも食べているが、まだきのこは尽きないらしい。
ひとりでこんだけ食べる気だったのかな?
それよりどれだけあるんだろう。
「彫像を入れたりな!その作りで誰で、いつ頃かもわかるってもんだ〜。」
お酒も減っている。カナンは護衛中の筈だけど呑んでいいの?
セリの送った視線はスイッと外された。
「ここの柱部分と壁に、模様が緑の色も入っている。」
そう言いながら、この洞窟の説明。
きのこ、追加。
セリはもう食べれない。
「鉱石の扱いはドワーフの右に出るものはいない!」
大人しく話を聞いていた、セリの記憶に引っかかる事柄があった。
『この砦の歴史か?作ったのいつだってそんな事聞いてどーすんだよ?』
砦にいた頃だ。聞いたことがあるが、わからなかった。
使っている砦で、わからないことがあるのが不思議だっただけで
そんなことも忘れる。
その当時は、模様を探し回って遊んでいたので、バッチリ覚えている。
「こんなのもある?」
柱の上に飾りのように彫られていた図案を地面に描く
「んおお?こりゃあ。
100年前くらいに、鉱山の洞窟に使ってたなあ」
セリのいた砦は
ドワーフ作の可能性がでてきた
「知ってるとこ?」
カナンの問いにセリは端的に答えた。
「砦の」
奥の奥、山に入る場所で何個か。
「山から出たところにはなかった。」
「そういうのなら〜、記録が残ってるかなあ?」
カナンは思い出そうとするような仕草で考え始めた。
酒を呑むのも忘れていない。
ロードはセリに聴く
「別に思い出したくなきゃ、いいぞ?」
気にかけてくれたんだろう。セリは特になんの感慨もない。
“砦がドワーフ作の洞窟疑惑”
の新説に、記憶が思い出されていく。
このセリの話から
情報部、カナンのまとめが提出される事になる。
後にある作戦に利用される事になるのは、まだ先だった。




