番外編 下調べ
100話目です!まだまだ続きます。
「例の子供ですが、竜人と来ていました。」
兎獣人の男が、報告に上がった。
参加していた講義で、観察対象の2人を視界に入れていた。
子供の方がきのこに興味、採取の経験があったようだ。
静かに、熱心に参加していたように見受けられた。
兎獣人の男がしているのは、対象と接触した場合の報告だ。
対象の扱いは繊細さを求められている。
それに反発の声は多い。
この『極北の城』の最高権を持つ、議長の裁量だが、
エルフの感覚と獣人の気性は違う。
そのために置かれた位置だろうが。
納得はしない。
血や気性と言ったものだろう。逃れられるものではない。
相手は西の長とも言われる獅子の獣人であり、
第一騎士団長
アクレイオス
「うちの子にも近づいているようでアレン君にも。その2人と会うのは塔内ですが。」
「以前、ティラスが怪我をさせたな。」
虎獣人の子供、わざとではないとは言え、怪我させられて怒ったかといえば
平然としていた。その子供の様子を思い出すと
“バカじゃないの?”
竜人を大砲に例えられ、発した言葉。
素に近い感情を出したのを思い出す。
『そんな事して危ないではないか』という意味の困惑の顔。
子供にしては自制心があるのかもしれない。兵器の怖さを知っているのか
ただの子供ではないとの訴えも、エルフには、子供にしか見えないらしい。
(500年生きる者というのは。長命種はあんな感じだろう。)
魔法、人族、竜人の番
獣人の社会で、番の問題は重大な
「争いを生む。」
第二騎士団長が引き継ぐ
「力は人間の子供ですが、魔力はなかなかの魔法使い並みですね。」
情報部の団長から、子供の能力を推定した。
「カナンは動かせないんですけど、そのままで?」
頷かれ、
王家のあの男が使っている男はそのまま動かさない。
まあ近づけているので、情報は引き出しやすいだろう。
「あの子供って、獣人に好かれるタイプですかね?」
命令に慣れた人間や
おおらかな性格の人間とは、獣人の気性と合う。
妙に構いたくなり、自然と扱ってしまう人間を称しているが
「あの狼獣人が懐くって、どんな子供なんだか?」
確かに、あのひと癖ある男を御せそうなのは気になるか。
「竜人との距離を取るため、人の子の方に取り入ってるとは、考えられないのですか?」
「その考えだけで、あれほど近づくだろうか?」
思いつきを口にしていくも、真実はあの男しかわからないだろう。
本能の赴くままというのも多い。
しかし我々は軍人であり、騎士だ。
“この場所を守る使命がある”
「そろそろ動いても良いだろう」
決断をした獅子が、静かに立って居たのだった。




