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題名のない物語  作者: 五木カフィ
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春日局が病に、、、

上様とて男 好きな女にのめり込むのは当然だと思う。

しかし反面 局の言う事にも一理ある。側女に限らず

自分の気に入った家臣の言葉ばかりに耳をかせば

万民の為の政治は成りがたい。いい例が五代将軍

綱吉と柳沢出羽守である。天下人足る者 多くの人々の

意見に耳を貸し 最も良い方向に治めて行かねば

ならない。個人を重用してはならないのである。

伊豆守はしばらく思案していたが 「こうすれば

いかがなものでありましょうや。そのおチサ様に一度

 引き合わせて頂きませぬか」 「どうなさるのじゃ」

「もしや おチサ様に先の出来事が見通せるとしたら

 それは考えようによっては大変役に立つ事で

 ございます。現にお楽の方様は救われた。竹千代君

 も病いから救われていると申された。それならば

 この先 上様が天下を治めて行かれるについて役に

 立つ事をお知りやも知れぬ。だがそれを直接上様に

 言上されては困り申す。ゆえにまずこの伊豆に

 聞かせて頂き、徳川の為 天下の為になるようなら

 他の老中方とも計り、我等より上様にお勧め致す

 事にしてはいかがなものでござりましょうや」

「それは良き考え さすが伊豆殿じゃ」

「これは恐縮でござる。さればおチサ様に合わせて

 下さるようお計らい下さいますか」 「大奥では

人目に付こうのぅ」 「はい できればこのお屋敷にてが

よろしゅうござる」 「チサ一人をここに呼べば 

 また他の者達が何かと思う事でありましょう。

 その手だては後にして、いつがよろしかろう」

「近い内がよろしいかと みどもは明日と明後日は

 諸用がございまするが、それを外せばいつでも

 よろしゅうござる」 「では 5日後にと言う事に

しては」 「結構でござります」と 言う事になって

チサは伊豆守と局の屋敷で会うことになった。

早速 その翌日 大奥の和島のもとに局より呼び出し

がかかった。和島が伺って見ると局はその日

しとねに伏せったままで、チサを人目につかぬよう

侍女に身なりを変えさせて密かに、ここに連れて

来るようにとのことであった。何の事かといぶかる

和島に局は、チサはあのような無作法者ゆえ

上様のご寵愛深い今 もう一度こんこんと説教して

置きたいからと、さりげない口実をつける。

和島は一応納得して、 それから4日後の夕方

春日局お見舞いと称して代官町の屋敷に向かう。

その駕籠脇きには侍女に変装したチサが付き添っていた。

チサにはとってはこの世界に来て初めて見る江戸の

町であったが、今は眼が向かない。チサはこうなった

いきさつを詳しく聞いてはいなかった。

ただ 和島よりお局様お見舞いと、聞かされただけで

あったのだ。局の屋敷に着いて見ると何となく邸内が

騒がしい。どうしたのかと尋ねる和島に家の者は

夕刻より局の容体が急変し、今 医師が駆けつけ

往診中であると伝え、ひとまず控えの間でお待ち下さい

とのことであった。


続く。

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