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題名のない物語  作者: 五木カフィ
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{オズという装置}

「なぁにこれ これどうしたの」と まだ呑気な調子で

老人に尋ねた。老人はというとこれは、さも嬉しそうに

ニヤニヤしながら中のチサをじっと見つめている。

「お爺さん お爺さん 出してよ」と言っても聞こえない

のか知らない顔をして 「これでいい これでいい

やっと念願の 長年の夢が叶う。生きた人間を実験に

 使う事ができる。ありがたい ありがたい事だ」と

一人つぶやいている。「ね~お爺さん 変よ。ここから

出してったら」と 周りをドンドン叩いて見たがガラスの

ように見えるドームはビクともしない。

「お爺さん お爺さん」 不安になってなお激しく叩くと

「これはお嬢さん。失礼しましたな つい 嬉しさに

 夢中になって」と さっきまでとは打って変わって

眼をギラつかせながら、人を小馬鹿にしたような調子で

言った。「いったいどうしたって言うの。早くここから

 出してよ」 「そうはいかんな。やっと手に入れた

貴重な実験材料じゃからなぁ」 「実験材料」

「そう 実験動物 ま 言えばモルモットのような、、

 お嬢さん あんたはわしのモルモットになったんじゃ」

「冗談は止めてよ。早く出さないと大声を出すわよ」

「出すがいいさ 叫ぶがいいさ。誰も来やしない

 ここは地下室で防音もしてある。妻が帰って来るのは

 夜だし婆やはさっき使いに出した。1時間は帰って

 来ない。アハハハ、、、、やっと果たせる。わしの

 夢が ワハハハ、、、」何がおかしいのか狂ったように

馬鹿笑いする老人 「わしはな お嬢さん。この研究に

一生をかけて来た。40年だ 40かけてやり通して

 来たのだ。大学を出てからずっとこの研究に没頭した。

 世間の奴らは変人あつかいしたがな。わしはそんな事

 気にもかけなかった。なにしろこれが完成したら

 日本中 いや 世界中があっと驚く。いや それでは

 言い足りない 世界中の科学者がわしの前にひれ伏す

 だろう。なにしろ形ある物体を瞬時の内に移動させる

 事ができるのだからな。それがどんなに離れていて

 もだ。分かるか 大阪とは東京に離れていてもわずか

 30秒ほどで行き帰りができるのだ。乗り物はもはや

 必要ではない。電車も飛行機もロケットさえいらない。

 月にだって火星にだってこの機械を置いておけば

 あっという間に行けるんだ。どうだ素晴らしいだろう」

「お爺さん 気が違ってる」 「気狂いか それも良かろう

お前さんも他の奴らと同様 何も分かってないのさ。

 だがな これは嘘ではないのだ。わしと息子が 

 そうさ 北海道にいる息子だ。息子も10年前から

 研究に加わっておる。二人で実験を繰り返して成功して

 いるからこそ言えるのじゃ これと同じ装置が息子の

 家にもあってな。これからお前さんをそこに送って

 やろうとしている」



続く。

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