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題名のない物語  作者: 五木カフィ
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庭での傷害事件

そうまで言われるとチサも気の強い女 倒れる時に

避けきれず軽く触ったぐらいのものを それも一応

謝ったのにと頭に来た。「花岡様 今のお言葉取り消して

いただきとうございます」と 単刀直入ズバッと言って

キッと花岡を睨みつける。それを聞くと花岡は

顔面朱にして怒り 「なんと それがこの花岡に向かって

言う言葉か いかにご寵愛深しと言えどもそれをカサに

して一介の中臈が年寄りたるこなたに言える言葉か

 さても恐ろしき者よ。このような者に惑わされる

 上様も上様じゃ」と 口にしてはいけない 決して口に

してはいけない将軍の批判までしてしまう。

幸い 側には花岡達とチサ達関係者しかいなかったから

よかったものの、、、(みな その時はそう思った)

しかし 間もなく同じように庭を散歩していた他の人々も

騒ぎを聞きつけて集まって来だした。

「言葉が悪かったのは謝ります。はしゃいでいて花岡様達に

 気づかなかった事もお詫び致します。でも私は突き当た

 った訳ではありません。倒れる時 手がかすかに

 着物の袖に触っただけです」と チサも引き下がらない。

側にいるおよのとかな江達は、もうこの頃はハラハラして

見守っていた。このまま言い合っていたらチサの分が

悪くなるのが分かっている。なぜなら大奥とは階級制度の

厳しい所 チサはご寵愛 第一人者と言えどもまだお腹様に

有らずお手付き中臈の身 花岡は総取締役の春日局を

除いては大奥最高の権力者 年寄りの役職であった。

今の世と違って下から上を批判する事は固く戒められて

いる時代である(今さっき 花岡自身がその戒めを破った

のだが) 集まって来た奥女中達も事の成り行きが

どうなるかと、息をひそめて見守っていた。



続く。

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