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題名のない物語  作者: 五木カフィ
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斬新なお掻いどりに皆の目が、、、

チサの衣装はその翌朝 将軍お迎えのお鈴廊下で

当然 奥女中達の眼をそばださせた。見る者全てに

驚嘆の声を上げささずには置かなかった。

「まあー素晴らしい 綺麗」 「なんて美しい」

「ちょっと触らせて」等と 口々に誉めながらチサの周りに

集まってくる。「おチサ様がこの柄をお考えになったの

ですよ。素晴らしいでしょう」と チサが答えるより早く

無口なはずのお蘭が、まるで自分の事を誉められた

ような嬉しそうな顔をして話してしまう。

「おチサ様が ご自分で」 「まぁ 素敵」 「今度 私のも

考えていただくことになっています」 「まぁ お蘭様が

羨ましゅうございます」 「私も欲しい」等 常はしとやか

に振る舞う奥女中も、こと着る物に関しては目が無い。

口々に騒ぎ立てるのをお玉達 同じ中臈の3人とその

侍女達は羨望と妬ましさの入り混じった目で冷ややかに

見下ろしていた。「これっ はしたない。何を騒ぎ立てて

おるのか。間もなくお成りの刻限というに」 

その時 和島の厳しい声がとんで、みな慌てて潮を引く

ようにサアッと左右に別れ 長いお鈴廊下に平伏した。

その中を厳めしい顔付きの春日局を先頭に四人の

年寄りが続き、お錠口に間近い場所にいつものように

ひざまずくく。局はチサとお蘭の前を通る時

チラっと視線を投げかけた。お蘭はいつになく頬を染め

楽しげに見える。(思えば不思議なことじゃ)局は思う。

二人の手付き中臈がいさかいもなく、お掻いどりの

図案を書いてあげる ありがとう と、まことに仲が良い。

上様は チサは気にすまい と、言われたが本当の事で

あったと今改めて思った。間もなく 鈴の音が鳴り響き

将軍家光が入って来た。みな一斉に平伏する中を

機嫌の言い顔で歩んでいたが、その足がチサの前で

ハッと止まりかけた。が 思い直したようにそのまま

スタスタと通り過ぎる。


続く。

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