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題名のない物語  作者: 五木カフィ
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斬新なお掻いどりに皆の目が、、、

もともと好んで大奥に入ったのではなく、局に半ば強引に

引き込まれ指導を受けて側女にさせられたのだが

お玉達からは町人上がりと白い眼で見られるし

家光が優しくしてくれる訳でもないので、家に居た時の

方がずっと幸せだった。ほのかに想い合っていた人も

いたのである。しかし今となっては、それは遠い昔の事

お蘭は二度とあの楽しい町家の暮らしには戻れない、、

反対すると思いきやお蘭があっさり承知したので局は

ホッとしてお年寄り達を集め、チサを自分の部屋に

預かる事を打ち明けた。お蘭様がいるのにと彼女達は

いぶかったがお蘭も承知の上と聞かされ二度びっくり。

そんな中 和島だけはこの無法とも思われる部屋預かりの

一件の裏に家光の強い希望が合ったのだろうと

早くも察しがついた。上様のご寵愛はそれほどに深い

ものであったかと心中唖然としたが、その無理を言った

上様の心も和島には分かる気がする。

お万の方に対する局の冷たい仕打ちを上様はご存じなのだ。

それゆえに今度はあのチサを局の手の内に入れて

避けさせようとなされたのだ。それならばみなさん疑惑を

避ける為にも、これは春日局自身の発案と思わせないと

いけない。「思えば あの変わり者のチサでは こなた達の

手に負えぬかも知れませんのう お局様ならではかも、、、

 さすが深いご思案じゃ」 長局に戻る縁伝い

和島は他のお年寄り達に話した。その知らせは早速

梅山の部屋にも知らされる。梅山はホッとする反面

あの頑固一徹な春日局の元に行かされるチサを哀れだとも

思ったが考えように寄ってははっきりした身元も

後ろ立てもないチサとって強力な後援者ができた共

言える。部屋を変わるといってもコレという持ち物の

ないチサには簡単な事だった。ハンドバッグ一つで

この世界に来たのだから着替えの着物とてなく

およのの古着や春江の晴れ着を借りていたくらい

だから何もない。中臈になってからは手当ても付くので

自分用を作れるが、まだ日が浅いために出来上がっては

いない。チサ自身が自らデザインしたお掻いどりを

今 呉服の間で大急ぎで作らせているところであった。



続く。

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