表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
題名のない物語  作者: 五木カフィ
21/166

チサは過去の世界へ

裏にそんな事が巧まれているとも知らず、お花見の

当日はカラリと晴れた良い天気であった。

その日は広い庭のあちこちに敷物を引いて酒や料理を

たくさん並べて また茶屋風に仕立てた小屋においては

餅や田楽等も並べる。その中で今日1日は上はお年寄り

から、下はお目見え以下の者も堅苦しい勤めをしばし

忘れて多いに飲み食い しゃべり 歌い踊るのだった。

その騒ぎには、まるで花も驚き散り急ぐかとも思われる。

十分に酒や料理が回ってみんなが陽気になり、歌の一つも

出だした頃に将軍家光は、お万の方はじめ一同を引き連れ

庭内の散策に出た。将軍やお年寄りが近づいて来ても

今日だけは無礼講 みなは踊る手を止めようとしない。

家光達もそんな様子を満足そうに見回っているが

その中で一人 和島だけは上様の眼がどの女に注がれるか

足が止まりはじめせぬかと、花もそっちのけで真剣そのもの

しかし お庭を半分以上回ったのに、それらしい様子は

チラリとも無い。笑顔でまんべんなく、笑いさざめく

数多の女中達を見て回っている。

その時 行く手の小高い丘の上で一段と賑やかな女達に

出会った。なにやら14、5人の女達がグルリと輪を作り

その中に目隠しをした2人が入り、手さぐりで足もとも

おぼつかなく蹴つまずいたり転んだりしながら相手を

捕まえようと必死である。輪の中の2人が面白い仕草を

するたびに女達がドッと笑いくずれる。

いつしか家光は足を止めてその面白い遊びを見物していた。

それはチサが皆に教えた今で言う《お爺さんお婆さん》の

遊びだった。チサ達は家光一行が見ているとはつゆ知らず

今しもおよのとチサが輪の中で目隠しをしたところ

およのがお爺さん役でチサがお婆さん役である。

「皆さん まだまだ下手よ。こういう遊びはお上品ぶって

 いては駄目 私が見本を見せてあげるわ」と チサは

大張り切り。


続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ