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題名のない物語  作者: 五木カフィ
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名前は愛姫(いと姫)

およの達3人とお万の方の部屋にいた女達も3人

新しく雇った者5人 それに正子であった。

新しくなった部屋に落ち着くときゃやっとのんびりできる。

もちろん局がいた時とは、調度品も違うから雰囲気も

違う。チサは全体を明るい感じにデザインした。

局の頃の重厚さを残しつつ、若々しく見えるような

デザイン おチサの方の部屋となっておよの おこう

かな江は喜んだ。早速 今でいう引っ越し祝いを

各部屋に配るのをおこうを頭におこなった。

一の側の部屋には白羽二重と侍女達にさらし

また 水運びや雑用をこなしてくれるお末には

その頭に祝儀を与え、みなで分けさせる。

おこうはその役割を喜々としてこなし、およの達

3人の中でもリーダー的存在になって行った。

年寄り達の部屋を回り、お里沙のいる姉島 花岡と

隣のお玉の部屋に挨拶に回ったが、姉島の部屋は

何となく空気が沈み、花岡の部屋では軽く頷いただけで

返事も返って来なかった。徳松のいるお玉の部屋は

風邪気味だという徳松の為 薬湯の匂いが立ち込めており

奥からは弱々しい泣き声が聞こえた。お玉は権高く

「可愛いい姫様でいらっしゃるとか まことにめでたい

 ことじゃ」 冷たい声で厭味ともとれる言い回しだった。

おこう達は首をすくめて早々に引き上げ、続いて

仲里 梅山の両部屋にも伺う。2人共とても喜んでくれ

気持ち良く部屋に戻って来た。

「ただいま帰りました」 「ご苦労様でした。気疲れした

でしょう」 チサがねぎらうと「はい 初めての事とて

戸惑いもございました」 「無事に済んでよかったが

 何か言われたの」 おこうが言いにくそうにして

いる様子を見て聞く。おこうは「特別なことは、、、

花岡様にはお言葉もなく、お玉の方様からは可愛いい

 姫様じゃそうでめでたいと言うお言葉を頂きました」

皮肉たっぷりな口調に、チサは頷き何も言わなかった。

するとお万の方の部屋から付いて来た女の一人が

「お薬湯の匂いが満ちていました。聞くところ

 徳松君は良くお匙の世話になっておられるとか」と

まだ言いかけるのを「これっ お里 そんな事を

言うものではありません。お方様が最も嫌われた

 噂話しでは無いか」と叱った。「はい 以後気を付けます」

お里は顔を赤らめてうつむいた。お万の方の部屋から

離れて気のゆるみがあったのだろうが、噂話しには

さんざん困らされたチサである。

だが 女達の言う通りお玉の子 徳松はひ弱で常に

医師の手にかかっていた。竹千代と同じく蒲柳の

体質を持って生まれたようで、竹千代の場合はチサの

指導のもと 体質改善が成功して元気になったが

チサのサポートが無い徳松が医師を煩わせるのは

仕方のない事であった。


続く。

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