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題名のない物語  作者: 五木カフィ
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伊豆守と絹物談義

「さようでござるか」 「それからもう一つ綿の事ですが

 綿は確か絹と違い暖かい温暖な気候がよかったと

 思いますので、西国の方だと思います。それという

 のも私が高校の卒業旅行に関西に行った時

 平野に山が迫っている大阪 兵庫 今の時代では

 何というのでしょうか。上方? 摂津だったかしら

 その辺りでは綿と綿の実から取れる油と、酒造りが

 有名だったと聞かされました。油や酒の粕を絞るのに

 水車の力が使われたとかで、昔は山からの急流を

 利用した水車小屋がたくさんあったと聞きました。

 また 油は綿だけでなく菜の花の種からも取れるので

 すよ。いつも美味しい蜜柑を献上して下さる紀州家

 でも油が取れるのです」 「御三家の紀州でござるか」

「そうです。紀州 私達の時代では和歌山というのですが、

 蜜柑と梅干しが有名な産物ですが菜種油もそうで

 あったらいいと思います」 「初耳でござる」

「では伊豆守様が、それとなく教えて上げたらいかが

 ですか。今のこの時代では有名でなくとも いずれ

 梅と菜種油は重要な産業西なるのが分かっている

 のですから」 「良く考えて見ましょう。絹や油が

今より安く国内で作れるとあらば喜ばしい限りでござる。

 急ぎ検討してみる所存でござる」 「お願いします」

「おチサ様には いつも有り難い助言を頂き、上様に

 なりかわりこの伊豆 お礼申し上げまする」

「あのお方には内緒ですね~」と笑いながら「先日も

パラパラ漫画を竹千代君に見せて差し上げていたら

 ご自分の方が夢中になってしまって 絵師の方々を

 困らせたのでしょう」 「あれはまことに面白く拝見

致した。今 若い絵師の中には仕事にしている者も

 いるようで、、」 「まぁ 本当ですか。あんな

子供騙しのような物が仕事になるなんて」

「おチサ様の時代にはもっと早く動く物が出来ている

 のでしょうな」 「そうですね。貴方様には思いも

寄らないような世界なのです。電気という物が水の

 力や火の力を利用して、また原子力というのも発明

 され、夜でも昼のように明るくできるのです。

 部屋の中も油や蝋燭でなく、電気で明るくも暖かくも

 涼しくもできますし、どこにに出かけるにしても

 車という、馬とは比べ物にならないくらい早い

 乗り物があります。また 大勢の人を一度に運べる

 電車という乗り物があり、江戸と京の間を二刻足らず

 で移動できるのですよ」 「二刻でござるか」と目を丸く

する。「夢のような話でしょう。この時代なら何日も

かかるのでしょうが、私達の時代ではその日の内に

 行って帰って来る事ができるのです。この間

 私が竹千代君に作って差し上げたような物も

 テレビという機械で本物のように動きます」


続く

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