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題名のない物語  作者: 五木カフィ
121/166

チサ 御膳所に立つ

「野菜をこのようにして食べる等 こなたはついぞ知り

 ませなんだ。マヨネーズというのも酸味があって

 美味しい」と お万の方も絶賛すると和島達も口々に

誉め讃えるのでチサは嬉しさに頬を染め、残りがちな

中奥の品を進んで食べた。「おチサ様はお掻い取りの

絵も書かれお料理も私達の知らない新しいものを

 ご存知なのですね。うらやましい」とこれはお仲居の

女中、他の人々も一様に同じ感想を持ったようだった。

その日より数日後 お広敷御膳所の料理頭からチサに

面会したいと申し入れがあった。大奥には外部から

来た人や表からの客に対応するお広座敷という部屋が

ある。御膳所ではあまりいい思いが残っていないチサは

何事かとおよの達3人を連れて行って見るとそこには、

先日の組頭の他に一人 別の男が来ていて2人は

うやうやしくチサに頭を下げた。大奥の料理頭

津川新左門が「先日はご無礼つかまつりました。

おチサ様におかれてはさぞかし、ご気分を害された

 事とお詫び申し上げます」と まず非礼を詫びた。

謝られたらチサとて、いつまでもウジウジするたちでは

無いので「こちらこそ 突然押しかけてさぞご迷惑

 だったでしょう。今日は何事かございましたか」

「あの後 料理人一同 おチサ様の新しい料理法に

 感服つかまつりました。上様よりお誉めのお言葉も

 頂き、我等も新しい料理法を極めようと思いまする」

「上様よりお言葉があったのですか」それは知らなかった。

「それはよかったですね。皆さんが手伝って下さった

 から上手に出来たのです。私一人では10人前なんて

 とても作る事が出来なかったと思います」

「そこでまず手始めに、あの時作られたマヨネーズと

 ドレッシングを我等にもお教え頂きたい。また魚や

 野菜のいろいろな料理も」 「それはいつでもお教え

します」 「中奥の御膳所でも作りたいと組頭を同行

 して参りました」 「成田久部と申しまする」と頭を下げ

「上様におかれては中奥で召し上がる事多く ことに

 朝は必ず我等がお出しする品に決まっておりますので

 何か良い一品があればお教え願いたいと、、」

「朝は日頃 どのようなものを召し上がっているのでしょう」

「汁の物 焼き魚 野菜の煮物 蒸し飯でござる」

「とても良い献立と思いますが」

「朝ゆえあまり変わりばえがしません。上様何も言わず

 にお召し上がりでござるが、この頃は食が進まぬ事も」

「それは困りましたねぇ。大奥で変わった品をお出し

 したので味に飽きが来られたのかも知れませんね。

 では汁物の具をいつも卵や豆腐でなく、卵は出し巻きに

 豆腐は野菜の千切りを入れて炒り豆腐に ご飯も

 いつも蒸しばかりでなく、野菜をたくさん入れた

 お粥にとか、煮物も大きめに切って蒸し野菜にして

 今度お教えするマヨネーズやドレッシングで

 召し上がって頂くのはどうでしょう」

「参考になってござる。早速明朝よりお出し申し上げ

 ようと思いまする」 「私でよろしければいつでも

ご相談下さい」と 言う事で2人はチサに感謝しながら

それぞれの職場に去った。



続く。

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