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題名のない物語  作者: 五木カフィ
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チサと伊豆守 中奥で

「この城とて過去に幾度か火災におうております。

 城内よりの出火もあれば町家からの火事が風に

 煽られ城に燃え移った事もござる」

「このお城も燃えた事があるのですか」とチサは驚く。

「さよう 西の丸が全焼した事も本丸が全焼した事も

 ござる」 「こんな土壁や瓦で出来ているお城も

燃えるのだったら、町方の人はもっと大変 家と

 言えばほとんど木造なのでしょう」

「さようでござるな」 「町の中に土壁の家を増やしたり

 防火壁をもうけなければなりませんね」

「防火壁と申しますと、、」 「町と町を仕切る所でも

良いですし、大きな寺院がある所でもいいですし

 とにかくその先まで火が燃え広がらないように

 大きな土の壁を建てる事です。私の記憶では町中の

 家の壁を土蔵にして火災を防いだ町がどこかに

 あったはずですが残念ながら江戸ではなかったと

 思います」 「町中の家となると それは無理でござる

あれは金がかかるし、それだけの土も無い」

「そうですねぇ それでは国中に人を使わして調べ

 させたらいかがでしょうか。今でも焼物はあるのです

 から、火に強い土はあるのでしょう。焼物にできる程

 上質でなくてもいいですから、全国から土を集めて

 実験 つまり焼いて試して見るのです。そうすれば

 町家や人は安心できるし土の採集等 禄を無くした

 人を雇う事ができるでしょう。それを江戸だけで無く

 国の政策とすればどうかと、、川を整備して舟で

 運べばいいと思いますから、その人足をまとめる役人も

 必要になって来ます」 「それは良きお考えかと

検討して見ようと思いまする」 「是非 そうして下さい

 いつの時代でもそうですが、火事は全てを無くして

 しまいます。命も思い出も、、、大火事とか地震の時

 どこに逃げるかと言う所をあらかじめ決めておく事

 日頃 訓練しておくのもいいですよ。私達の時代では

 学校 つまり寺小屋で教えます。避難する場所まで

 行く道も決まっていて、年に何回か練習するのです」

「それも良い事でござるな。早速検討を」

「このお城が燃えたら怖いですねぇ 私など外に出た

 事が無いから いざという時、どちらの方を向いて

 逃げたらいいのか分からない。お方様に申し上げて

 早速 大奥でも避難訓練をするようしなければ」

「城中 すべからく行いましょう」と いう事になり本当に

後日 大奥でも訓練をする事になった。火元は仮に

ある部屋の湯殿としたり、またはお末部屋から出火と

したりして2回、3回と繰り返しここから広い庭に、

この場合は玄関口にと練習をし、その結果 着ている物は

身軽く、お掻いどり等は脱ぎ捨てて行く事 足袋裸足

では火の粉や折れた木片等で怪我をするという事で

部屋ごとに草履を人数分用意しておき、いざという時に

利用する等いくつかの決め事を作った。


続く。

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