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題名のない物語  作者: 五木カフィ
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チサと伊豆守 中奥で

「そうですね。でも 豊かな国はともかく小藩や

 お米が不作の時は大変でしょうね」

「ふ~む」 「まぁそれは 今でなくても、、それより

 私が心配しているのは禄を失った武士達がどうして

 いるかと言うことです。今まで藩から貰っていた

 給料 今の言葉では何と言うのか、、とにかく

 お家取りつぶしになったら仕事が無くなる訳ですね」

「まぁ そういう事に」 「その人達はどうしたら良いの

 でしょう。急に畑を耕す事も商売をする事もできない

 でしょう」 伊豆守は黙りこんだ。彼も老中達もそれを

考え無いことはなかったが、今までに有効な手だてを

思いついていなかったのだ。「そういう人達はプライド

が高いから、、ああ プライドと言うのは今は何と

 言うのかしら自尊心かしら矜持と言うのか分からない

 けれど、食べて行くお金はない。しかし刀は持っている。

 それを悪いことに使うのでは無いでしょうか」

「おチサ様には良い手だてをご存知でありましょうや」

「それは私にも良く分かりません。私には武士が

 いえ 貴方様も町の人達も実際 どんな暮らしをして

 いるか、見た事が無いんですもの。この大奥に来てから

 外に出たのはお局様の時だけです。でも私は思うのです。

 家綱様の代になって浪人が反乱を起こすのは分かって

 いるのですから、そうなる前に力で押すのではなく

 その人達が生活して行けるようにして上げる事が大切

 なのではないでしょうか、その人達にも養わなければ

 ならない家族がいるでしょうから」

「それはかねてよりの課題でござる」 「少し考えてみたの

ですが国中の人達がみな 字を読み書きできるように

 寺小屋をたくさん作ったらいかがでしょうか」

「国中の町人 百姓もでござるか」 「そうです。確か今の

時代でも侍には学問所のような所があって学べるの

 でしょう」 「さようでござる」 「でもそういう所は

お金がたくさんかかるし身分が違うからと、百姓や町人は

 行けないのでしょう。ですからそれ程まで高度な学問

 ではなく、すべての人が生活に困らない位の字を

 読み書きできればいいのです。そういう仕事を禄を

 失った侍に寺小屋で教えて貰うのは行けませんか

 もちろん只ではなくお金を少し取って経営するのです。

 寺小屋の近くに住む家も建てるか借りるかして、、、

 みなの為の寺小屋なら家主も安く貸してくれるでしょう。

 足らない金額は幕府やその国の藩主が出してあげて、、

 そうすれば出費も少なくできるし、その少しのお金も

 出せないような人には寺小屋で学んだ生徒が教えれば

 いいと思います」 「ふ~む」 「みなが字を読めると

言うのは素晴らしい事なのですよ。今の時代 国中の人が

 字を読み書きできると言うのは外国 他の国においても

 珍しいことなのです。字を読めれば本を読む人も増える。

 そうなれば紙を作る人 墨や筆を作る人 硯を作る人

 本を書く人も増えます。そんな仕事も手伝えれば

 良いでしょう。大切なのは、これからは戦が起きない

 から刀一本で出世するのは難しいと言うところを

 武士も考えて貰わなければ」 「それはそうでござるが

なにぶんにも難しいものでござる。武士は 侍という者は」


続く。

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