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明日は雨が降るかな…

作者: 修羅天国 花畑地獄

やぁ。

今日は僕の話を聞きに来てくれたんだね。

そうだな。それじゃあ、僕の友達の話をしようか。




彼の名前は『カエデ』。

彼は幼い頃から不思議な能力を持っていたんだ。その能力は…何て言えばいいかな…。そう。『未来予知』…が一番近いかな。

未来予知といっても明日の天気が分かるとかそんな感じだからね。はっきりいってしょぼい。まあ。僕は便利なやつだと思ってたね。

だってそうだろう?天気予報より正確なものがあるのに利用しないわけないし。まあ。それはいいんだ。

彼が高校生になったときかな。クラスにとても可愛い娘がいたんだ。まあ。お察しの通りカエデはその娘を好きになっちゃってね。

彼にしては珍しく自分から告白しようとしていたんだ。直前になってやめちゃったんだけどね。カエデが言うには『失敗した未来』が視えたんだって。

天気予報しか出来ないくらいしょぼいのに何いってるんだ、って思ったよね。結局カエデが告白することはなく卒業しちゃったんだけど。

それからカエデは未来を『少し詳しく』視ることが出来るようになったんだ。それで金稼げるだろ。って思うでしょ?僕もそう言ったんだけど…それをやると『嫌な予感』がする。っていうんだ。まあ。嫌がるなら仕方ないよね。本当は僕も利用したかったけどね。

ある日カエデは次の日の天気を視ようとしたんだ。でもその日は失敗しちゃってね。視れなかったんだ。失敗することなんて今までなかったのに。

次の日、原因を探してみたんだけど全然分からなくてね。気晴らしに映画に行ったんだ。でも途中ではぐれちゃってさ。

もちろんカエデは『合流する未来』を視ようとしたんだ。でもまた失敗した。そんなときに雨が降ってきちゃってね。カエデは憂鬱な気分で近くの店に雨宿りしたんだ。

その店の中にいたのは高校の時に惚れてた女の子だった。その子は店に入ってきたカエデを見ても誰だかわからなかったようで、いらっしゃいませ。と声をかけた。そこでカエデも正気に戻って店の内装を見渡した。そこは花屋だった。

カエデは無意識に能力を発動していたみたいで暖かく優しい未来が視えた。カエデは咄嗟に近くにあった桔梗を掴み差し出す。「これ…いくらですか?」

「キキョウですね。えっと650円になります。」

カエデは650円を差し出し桔梗を受けとる。そしてまた桔梗を差し出し。

「高校時代から好きでした!結婚を前提に付き合ってください!」

と言った。

「え…。もしかしてカエデくん?」

カエデは無言で頷き返事を待つ。

「そっか。カエデ君も好きだったんだ…。…ねぇ。キキョウの花言葉って知ってる?『永遠の愛』だよ。…私でいいなら付き合うよ。嬉しい。」

カエデは喜んだ。それはもうすごいくらい喜んだ。

そのまま二人は幸せに暮らした。途中で彼女といるとき能力を使おうとしても使えないことに気付いたが、無くて困るようなものでもないので気にしなかった。

そして結婚式。二人はめでたく結ばれた。二人の間にはふたりの子供ができた。幸せになった代償としてカエデは能力を失った。それでもかまわなかった。幸福であれたから。

「お父さん。明日はね遠足なんだ!明日雨降るかなぁ。降らないといいなぁ。ね、お姉ちゃん!」

「明日は『雨が降る』よ。」



これで僕の話は終わりだよ。どう?楽しめた?

僕の話を聞いてくれてありがとう。

それじゃあ、また今度どこかで会えたらね。

ああ、そうだ。出かけるときはちゃんと天気予報を見てから出かけるようにしてね。雨が降ったら大変だ。

「お父さん。仕事終わった?」

おっと、こっちに来たら駄目だっていっていただろう?

「うん。ごめんなさい。」

よし。いい子だね。

「?あなた誰?」

お父さんのお客さんだよ。

「ふーん。ねぇ、あなた帰り道車に気をつけてね。『危ない』から。」

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