第14話 「善の魔女」
「死ぬー!」
と思いきや、辺りは一気に霧に包まれた!
「キャアアアアーッ!」
思わず目を瞑ってしまったフレアが次に目を覚ましたとき、そこは修道院の1階にある玄関だった。フレアは人間の姿に戻り、床に座っていた。
「なになに? どうしたの?」
「フレア……どうもありがとう……」
目の前に、先ほどの善の魔女が現れた!
「あっ! 善の魔女さま! どうやって脱出できたのですか!」
「海の精が助けてくれたのですよ」
「海の精……? どこにも……いないようですが……?」
「ええ。海の精は白いモヤの中にいるのです。実体はありません」
「そうでしたか……では、わたしのことも……ああ、よかった!」
「フレア……あなたの呪いを解いてあげましょう。ああ、ちょうどよかった! あなたの髪にカラスの羽が付いてているわ!」
「あ! それは先ほどのカラスの!」
「おそらく、それはネリーが変化した姿です。これを使えばあなたの呪いは解けるわ……ネリヘラネリヘラ……」
善の魔女が呪文を唱えると、フレアは見る間に元の金髪碧眼の乙女に変身した。
フレアは鏡に自身を映した。
「まあ! よかった! これでお城に帰れるわ!」
「待って、フレア! それだけではまだ呪いは解けていないわ。国でのあなたの立場は変わっていないはずよ!」
「そうだった……わたしはいまだに側室のままだわ。いったい、どうしたら……」
「フレア、ネリーが黒魔術を覚えた場所がきっとあなたのお城のどこかにあるはずだわ! その場所を突きとめて、呪いを解くのよ!」
「でも……どうやって……」
「魔女の女王さまに頼んで、魔法を授けてもらいなさい」
「わかりました!」
「わたしからも、あなたに魔法を授けてあげるわ!」
「まあ! ありがとうございます!」
「これは恋の魔法よ! あなたが相手とキスをすれば、相手にかかった呪いが解けるわ……ルりルン、ルりルン……これでよし! フレア、がんばるのよ!」
「はい! 善の魔女さま、どうもありがとうございました!」
「こちらこそ、あなたのお蔭でわたしは解放されたわ! どうもありがとう! 魔女の女王さまのところへ送るわ! そおれっ!」
「ワアアアアーッ!」
フレアの身体は空高く舞い上がり、あっという間に魔女の女王がいる高い塔へと吹き飛ばされた!




