サーの一日
冬馬君の夏
『サーの一日』
「ふぅー」ため息をつき、男は目覚める
その男の名はサー。
これはスペインから帰った翌日の多網父こと通称サーのストーリーである。
「あーっ、これから仕事やだな」
男は目覚まし時計を見て
「よしっ、まだ2分眠れる」
彼にとってこの2分は天の恵みである。
ああ、この2分が永久に続けば良いのに。
男はまた眠りにつく。
やだっ、やだっ仕事行きたくない
起きたくないんだよっ!!
まだ寝てたいんだよっ!!
くつろいでたいんだよっ!!
上記の言葉は常用句なのだろう、勢いよく更にノリ良く、キレもあり、更に油ものっていた(なんぢゃ)
ああっ、この2分が二時間になれば良いのに
目覚ましはすぐになる
昨日のスペイン旅行の時に時間よ戻れ
ええい、時間よ止まれっ!!
男は本気で祈った
本気の本気で祈った
ピピピピピピピピ
無情にも目覚ましはすぐに鳴る
ああっ、起きたくないなぁ
男はしぶしぶ起き
そして思ふ
良いなぁ、多網はまだ冬馬君達と一緒に過ごしてまだ
布団で寝てるんだろうな、そして夏休み
よだれが垂れそうになる
あっ、いけない遅刻しちゃう
男は朝食を半ば無理矢理口につめこみ出発する
腹は全くすいてない
家を出る時、布団で気持ち良さそうに寝ている多美を
見て
あっ、 ああっ
羨ましいっっ
ヨダレが垂れた
男は駅に向かう
満員電車に乗り
思ふ
ああっ、これが帰り道だったらな。
ズクシュッ
足を踏まれ
ゴフッ
痛がる
駅を降り
職場までの道のり
なんだか久しぶりだし、緊張するなぁ
ふうっ
サーーーーーーー
職場につき
「おっ、おっっ おはよーございましゅ」
噛んでしまい、しゅ になってしまふ。
微妙に笑われ
恥ずかしいサーは
右に向いた後、訳もなく左を向いた。
席につき
サーは思ふ
夏休みくんないかなぁ
30年くらい
どんな夏休みじゃい!!
カチ カチ カチ ぷにゅ(えっ?)
時計は進む
来てしまえば、多少の仕事モードとなり、真面目に取り組むサー
が
「あっ、はっ、部長」
「こないだ、君この書類間違ってたよ、何年やってるんだ!!」
「あっ、さっ かはっ、さあああああー、本当にすみませんでしたあああっ」
サーは謝りなれていた。
この動作は異様にテキパキしている
「しっかり、したまえ」
「あっ、さっ サーーーーーーー」
ふぅーーーっ
ため息をつき
仕事を始める
そして昼休み
さーサーさあああああっ
サーは心の中、声をあげ
すぐさま席を立つ
そして
職場から早歩きで、とにかく遠ざかり
公園のベンチに座る
ああ、落ち着くなぁ
この瞬間、心安らぐサー
とけたみさんも仕事今頃やってるかなぁ?
こないだの二人の旅行楽しかったなぁ。
お弁当を開く
「ママの手作り弁当、ありがたいなぁ」
パクリ
むしゃ、むしゃ
「美味しいなぁ」ニッコリ笑顔がこぼれる。
すると、職場の仲間たちの声が
そこからがまた速かった
速攻で弁当を包み
すぐさま走り出すサー、一瞬石につまずき、こけそうになるが体勢をなんとかもちこたえ、つっぱしる。
その後ろすがたは同僚達から
丸見えだった
「サーさん、どうしてそこまで、逃げるんだろうね」
「誰か誘ってやれよ」
「でも、なんか気まずそうにしてるんだもん」
サーは息をきらし
「ハアハア、何とか見られずにすんだ」時計を見て、職場に戻る。
サーは思った、スペインのお土産どのタイミングで渡せば良いんだ?
帰りか?それとも最初に渡すべきだったか?
さああああああああああああああっ!!
皆に渡すことにしたサー
「あっ、どうぞこれ」
「あっ、サーさんありがとう」
ちなみに職場でのあだ名もサーであった。
「どこ行かれたんですか?」
「あっ、えっ すっ スペイン」
なんだか異様に照れるサー
「わぁー凄いですね」
その言葉のリアクションに困った
サーーーーーーーーーーーーーーーーーっ
「えへっ」不気味な笑顔を浮かべ終え
席に戻り
時計を見る
よしっ、後6時間 映画3本ぶんの時間だ(どんな基準じゃ)
サーは空想した
自分はさしずめ、この職場で一番仕事の出来る男
サーさんはやっぱり凄いなぁ
わぁーサーさんまた売り上げあげた
君は当社に必要な人材だ
「いやいや、それほどでもないですよ」
声に出てしまった
シーン
「なにが、それほどでもないんだ」部長である
「あっ、かはっ まことにすっ すいませんでした」
また述べるが、この動作は異様に速かった。
社内一である。
しばし休憩タイムが来る
若い女性の社員に質問され
「あのぅ、これどうすれば?」
異様に意識するサー
かっこつけて、全然咳払いする必要はなかったが、
咳払いした。
が
喉にひっかかり
むせた
ガハッ
「だっ、大丈夫ですか?」
「あっ、へへっ、何ともないサー」
サーはこの自分の返事は機転が利き、かっこ良いと思い、調子にのる
「あっ、そんなの簡単だから ぼくがやっとくよ」
決まった、決まりすぎた、サーの描く自画像はこうして満たされる。
僕は優しくて、頼れる、ちなみにてへっ、カッコイイ上司だ。
だが実際は
「あの人に聞きなさい、全部勝手にやってくれるから」だった。
サーの仕事量はこれにてかなり増える
今度は男の若社員さん
「サーさん、スペインどこが良かったですか?」
サーは異様に考えこむ
何と言ったら自分がより良く相手に映るだろうか?
ここでも基準はそれである
考えこんだ結果その答えは
何故か
「地下鉄」であった。
何故?
そう、サーはこう思われたかったのである
地下鉄?凄い外国で地下鉄を乗りこなす、言葉もきっと喋れるんだ、すっごい、凄すぎる僕には到底出来やしない。
サーは自分の自画像をまたピカピカに磨いた。
が
この時、若社員にとっては、返事が遅くもうどうでも良かった。
「そうですか」
そして、残り三十分
この時、サーのテンションは一気にあがる
やったあ、残りサザエさん一回ぶんだ(だから、どんな基準じゃ)
ちなみに仕事が終わり社を出るスピードも異様に速かった
「お疲れ様でした」
ピュー〜〜〜〜〜〜〜ン
シュン
奴は瞬間移動でもしたかの様に消え去った。
こうして、サーの一日は終わる
家に着き
妻と子の顔を見ては、また明日も頑張ろうとサーは思ふ
サーは布団に入る瞬間
最高の笑顔を浮かべる
「ああーっ、たまらんっ」
翌朝は今朝と同じ常用句を述べる
明日も彼の周りにはこの言葉が響き渡るだろう
サーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!




