皆が泊まる夜
冬馬君の夏
『皆が泊まる夜』
子供達は布団の上寝転んでいる
「わーい 旅行 パネ パネ」ご満悦な虎鮫代ちゃん
「かはーっ、くつろぎ瞬間たまらん」と大喜
部屋いっぱいに敷きつめられた布団
部屋の中は賑やかで盛り上がっている
「あちーっ」
みなは顔を見合わせニンマリ笑う
部屋の中の冷房はいつもより下げられた。
「今日の夜中の語り合いはなにする?」ときみ子
あっ、やっぱり、清香やアミの話をするの忘れてると思った冬馬君と大喜
すると多網が
「スゥイートな恋愛」とポツリ
なんぢゃー、だが良いぞー とガッツポーズの二人
「アパパネ アパパネ アパパネ」
どーゆう意味かは分からなかったが虎鮫代ちゃんはまたアパパネと謎の言葉を発し興奮して笑ってる。
「あっ、そーだそんな話をしようって、さっき言ってたんだった」ときみ子
そう そう 二人は心の中頷く
虎鮫代ちゃんが突然「ふぅー」とため息
「どうしたの虎鮫代ちゃん」と冬馬君
「私のラブストーリー聞きたい?」
うおっ、どーでも良かった!!
皆は虎鮫ちゃんを見つめた。
「好きだったなぁ」虎鮫代ちゃんが切なそうな顔をして突然ため息をつく
「はしゅるるるる」
「どうしたの?」と大喜
「うん、あれは去年 私好きな人がいたの」
「えーっ初耳」驚くきみ子
「きみ子も知らない隣の家の子」
「どんな人だったの?」興味津々な冬馬君
「最高だったの、特に名前が」
「どんな名前?」
「鷹鷲雀君」
どひぇーまたすごい名前だな、一人で三種も持ってるとは。
「ちなみに、名字が鶯鴉君」
そりゃ本当に人間の名前か!!
一同心の中つっこんだ。
「私がその、うぐいすからすたかわしすずめ君に会った時」
ええいっ、じゃかしい省略せい
「すずめに会った時、一目惚れだったの」
(すげー省略、すずめになっちゃった)
「どんな顔だったの?」ときみ子
「うぐいすとからすとたかとわしとすずめが混ざった顔」
皆はずっこけた
本当に人間かい!
てか、どんな顔じゃい!!
「初めて会った時、ちょうど彼が家から出てきたの
そして私にこう言ってくれたの ピチュ ピチュ ピチュるるる」
私その時思ったの「あっ彼はイタリア人なんだって」
皆はまたずっこけた
どー考えたってイタリア人じゃないだろ ピチュ ピチュって。
冬馬君は思った、人間じゃなくて、鳥の惑星かどこかから間違えておりたっちゃった、鳥人間じゃなかろうか?と。
「だから、私もこう返したの おはようピチュ ピチュ」虎鮫代ちゃんの顔がポッと赤くなる
「きゃー可愛い虎鮫代ちゃん」とはしゃぐきみ子
「で翌日もまた朝、玄関前で会ったの、彼は突然私にこう告白したの」
「ゲゲゲ ゲルマニウム クロマニウム」
顔を赤らめる虎鮫代ちゃん
だっ、大丈夫なのかそいつは
「何それどういう意味なの?」と冬馬君
「うふっ、やだ照れちゃう 多分イタリア語で一目惚れしちゃった君最高に可愛くて美しくて気品があるね
だったと思う」
冬馬君と大喜の顔は笑いをこらえ真っ赤だった。
いや、絶対にそれはイタリア語でそんな意味ではないだろうと子供ながらにもわかった。
もう一度言う、とにかくその男は大丈夫なのか?
本当に人間なのか?
今にも笑いが止まらず吹き出してしまいそうだった。
多網の顔はとくに真っ赤っか、笑いの噴火ぎりぎりの所みたいだ「ゲッ ゲルマニウム ぷぷぷっ」
「そんでどうなったの?」ときみ子
「なんか知らないけど、三日後には家ごと、もぬけのからだったの」
ヒョエえーっー それはものすごい怖い話なのではないかと冬馬君と大喜は思い布団にもぐる。
一体、虎鮫代ちゃんは何と交流してたんだ?
きみ子は話を聞くと頷き「ロマンティックね」
「うん、恋はいつも、私を女にするの」
もともと女じゃろいっ。
その時だった
ビュウウウウオー
強い風が窓にあたる
ガタガタガタガタ
揺れる窓ガラス
「強い風ね」ときみ子
ポツポツ ポッ
ザアアアアアア〜〜
「雨だ」
立ち上がり外を眺める子供たち
夏の夜の激しい雨
すると多網が
「嵐〜」皆のかけ布団をひっぱり奪う
「ぎゃー」
「布団にもぐれー嵐が来たぞー」と冬馬君
あーこの夜のみんなのくつろぐ時間最高に好きだ
布団にもぐり、ニンマリ笑う冬馬君
ザーッ ザーーーッ
「雨強いね」と虎鮫代ちゃん
「うん」
ザーッ ザーッ
強い雨音の中、冬馬君を眠気が誘う
ウトウト ウトウト
あーたまらん、眠れる
ズクシュ
「ぐはっ」
大喜のカンチョ〜であった。
「寝るにははやい」
そんな中、多網が言う
「起きてるごっこ」
「なんぢゃーそりゃ」
「先に寝たら負け」
しゃー 皆に気合いが入る
しかし、寝てはいけない状況、眠くなるものだ
ウトウト ウトウト
ジロリ
皆の目が光る
眠いのはきみ子
きみ子の顔の前、舌がまわる
ペロ ペロ ペロ ペロ〜〜〜
「おっ、起きてるわよ」
カチッ カチッ 時計は進む
ウトウト ウトウト
あーもう、夢の世界に行ける、ニッコリ笑ったのは大喜
あーゆくよ、眠れる あー幸せ
あっ、 かはっ この瞬間たまらんっ
スヤスヤ スヤスヤ
きっ、きたー至福タイム
ジロリ
目の前に現れたのは冬馬君の顔
「ひいいいいいーっ」
「起きてる、起きてる」
チッ チッ チッ 時計はまわる
皆はもう、いつでも夢の中にいける
ああっ、クーラーの効いた部屋、たまらん
眠い
眠いぞっ
もう、眠る
目をつむろうとしたのは虎鮫代ちゃん
すると目の前に気配が
パッ
ジロリ
こっちを見ているきみ子
虎鮫代ちゃんの舌は出たり入ったりした。
ムキャー
こうして夜は更けて行き、気がついたら子供たちは眠りについてしまっていた。
一度夜中に目を覚まし、冬馬君はまわりを見る
あはは、みんな寝てる
皆が気持ちよさそうに眠る姿、部屋はこないだまでのスペインのホテルではなく自分の部屋
それがちょっぴり不思議な感じがした。
帰って来たんだなぁ そんな事を思い、まだみんなで一緒に過ごせてるのが嬉しかった。
気づけばまたすぐに眠ってしまっていた冬馬君
翌朝、みんなで朝ごはんを食べてすぐ
「さて、そろそろ私帰るよ」ときみ子
「えーもう帰っちゃうの?」冬馬君と大喜が言う
「うん、ずっと帰らなくなりそうだしね」と笑うきみ子
「楽しかったねスペイン旅行」きみ子は微笑んだ
「うん」頷く三人
何故か虎鮫代ちゃんの舌は良くまわっている
「パネ パネ」
ああ、きみ子帰っちゃうのか 冬馬君は夏休みの楽しみにしてた、一大イベントだった海外旅行が終わってしまったんだなぁ、そんな気持ちになる
玄関で
「おばちゃん、おじちゃん どうも色々お世話になりました」ときみ子
「また行こうね」と正子
「こちらこそ、またね」隆が微笑む
ずっと一緒に居たきみ子が帰ってしまうのが寂しい冬馬君と大喜、多網
「またねー」
「うんじゃあねー」
きみ子と虎鮫代ちゃんは帰って行った。
「きみ子達帰っちゃったね」
「ああ、スペイン旅行楽しかったなぁ」大喜が言った
。
皆の夏休みはだんだん過ぎていく、あれだけまだまだ続くと思っていた夏休みも終わりに近づいて来ていた
。
ミーン ミン ミン ミーン
蝉は朝から元気に鳴いている
つづく




