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冬馬君の夏  作者: だかずお
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心霊じいさん





冬馬君の夏




『心霊じいさん』



ミーン ミン ミン ミーン 夏真っ盛り。


「今日は暑いや~」

夜の怖い番組が楽しみな子供達。

夏を満喫している。


冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出し。


ぐびっ ぐびっ ごく ごくっ。


「ぷはーっ、たまらない、生き返る~」ニッコリ冬馬君。

夏の麦茶はいっそう美味く感じる。

かはっ、たまらん。


ああ、夏 大好きだ。


なにより、夏がいっそう好きに感じるのはもしかしたら、休みが一ヶ月続くのも大きな理由のひとつかもしれない。


とにかく大好きな季節なのだ。


「今日は何する?」大喜が言った。


「うんちする」と多網が囁く


それを無視して、冬馬君「何しよう?」


「外に遊びに行く」と多網


「大賛成~」みんなは一斉に家を飛び出した。


三人は近くの公園に。

しばらく、遊んでいると前からおじいさんが。

「あっ!」冬馬君はそのおじいさんを知っていた。

学校のクラスメイトがたまに噂話をしているおじいさんだったからだ。


そのあだ名は心霊じいさんであった。


それを聞き大喜は吹き出す

「心霊じいさん?、変なあだ名」


「何でそんなあだ名なの?」


「うーん、不思議な話ばっかりするらしい」


「へーっ、話かけてみよっか?」と大喜。


「えっ、やめとこう」と冬馬君。


鼻くそをほじくりながら、すでに多網はじいさんの前にいた。


「やぁ」


「ぎゃー多網」二人は慌てて驚き多網のもとへ


じいさんは言った「やあっ」


二人は目で見つめ合うと何故か分かりあったらしく、握手までして何度も頷きあっていた。


なんぢゃーあの二匹、何故か分かり合っている二人。


「おめぇーなにもんぢゃ?」と爺さん


多網は何故か頷く


「まさか、おめぇーひろゆきの生まれ変わりじゃねーだか?」


「ノン」それは即答だった。


「わしのはやとちりか」


どんな、はやとちりなんだ、冬馬君と大喜は思う。


「すまなかったな、じゃあの」


多網がじいさんのズボンの裾を掴んで引っ張って立っている。


「怖い話して」


でた~っ。


「むむっ、お主も好きね~」と爺さん。


何故かこの展開に大喜びの冬馬君達。


「わしは、怖い話は好かん、幽霊じゃの怨霊だの、みんな幽霊イコール恐怖の対象にしてしまっとる」


「まったく」爺さんは何故か怒っていた。

「おっと、すまん、べつに君らに文句言っとるわけじゃないんだ」


「怖い話など知らんが不思議な話ならしてやるぞい」


「わーいして、して」


「わしがまだ64の時じゃ」


まだ64?一体いくつなんだと思った。


「わしがうんちしてる時ぢゃった」


幽霊よ、出るならもっと他にシチュエーションはなかったのか?

ちょっと選んでやってくれ、子供ながらにそう思った。


「突然死んだ爺さんがあらわれたんぢゃ」


ぎゃー、幽霊出たな!!しかも身内。

死んだ爺さんよ、せめてうんこ終わるまで出現するの待てなかったか?何故ちょうど良い感じにでとるときに。解放的な瞬間で良いとこじゃったんじゃ。


たまに爺さんにすごくせっかちな人がいるが、その類であろうか?


「わしはビックリしたぁ、どうして出るなら後、二、三分待てなかったんぢゃと」

爺さんもそう思ったかと、ちょっと感覚が合ってることに安心し苦笑いを浮かべる冬馬君と大喜。


「おかげで、出るはずじゃった、ワシのウンコは引っ込んだ、くそ~っ、よりによって快便の日に」


「んで、どうなったんですか?」大喜が言う。


「いや、そんだけじゃ」


大喜はずっこけた、何しに出てきたんだ、その爺さん。


「クソの具合見るため」とぼそり多網


どんな具合じゃ~てか、どんな幽霊だ!


「だっ、だから快便の日だったのか」と、目をまん丸くして幽霊の意図を理解して、驚くじいさん。


って、おいっ。


しかし、ウンチしてるのをじっと見つめてるだけ、違った意味でこわい。


「だが、わしはその時から確信した、幽霊はいる」


「うん、僕もそう思う」と興奮気味冬馬君。


「そして」爺さんは目を輝かせて言った。


「わしは宇宙人にもあった、ええんじゃ、ええんじゃ笑いたきゃ笑え、どうせ人なんて、常識でしか物を見れんから」


すると大喜が、「こんなに広い宇宙なんだもん、人類みたいなのがあるのが、地球だけのはずがないよ」


冬馬君も多網も頷く。

どうでもいいが、このタイミングで多網は右の鼻毛を引っこ抜く、ちょっと毛が硬くて痛かったので瞳が潤んでしまった(どうでも良いわ)。


爺さんは子供達の反応を見て笑っている。(多網のじゃないよ)


「地球にだって人が居るんだから、他にだって居たっておかしくないよ」と冬馬君も続けて言う。


「ほっほっほ、そうか、変なじじいだと思わんか、わしのがよっぽど、凝り固まった目で人を見てたのやも、新しい世代じゃの」

爺さんは嬉しそうだった。


すると、後ろから「おいっ、冬馬君に大喜君じゃないか」


振り向くと「あっ、久しぶりです」

そこには犬じいさんが立っていた(彼の詳しい詳細は「冬馬君の夏休み」にて)。


「おうっ、犬ジジイ生きておったか」


「なんだと幽霊ジジイ、まだこの世にいたか」


二人はどうやら知り合いだったようだ。


大喜は二人の呼び名を、これからなんと呼ぼうか一瞬考える。

犬じいに、幽霊じいだろうか?

僕らはみんなで、公園のベンチに座りながら再び話はじめた。


「この辺りも、昔に比べると大分変わったのう」犬じいさんは空を見上げる。


「昔とそんなに違うんですか?」と冬馬君


すると幽霊じいさん「昔は空襲なんてあって、防空壕という洞穴に隠れたりしたもんじゃ」


「空襲?」


「戦争じゃよ、空から爆弾が落っこちてくるんじゃ」


子供達は息をのんだ。


「爆弾?じゃあ落ちたところの人達は?」


「もちろん、死んでしまう」


子供達はビックリした、ちょっと前にそんな事が起こっていたなんて、そんな信じられない出来事を体験した人が身近に居たなんて、そんな出来事が起こった事がそんな昔の事では無いことが少し怖かった。


「悲惨なもんだった、爆弾の後、街を歩くと沢山の人達が街の中で倒れ動かなくなっていた」


「そんな」


「人間と人間が殺しあう、本当なんとも愚かしい事だと思う」と幽霊じいさんは悲しそうに言った。


「そうじゃな、殺し合い、争って強い方が残っていく世界なんて、結局どうなるか分かるもんじゃ、話し合いで解決出来るようにせないかんよなぁ」犬じいさんは真剣な顔して話していた。


犬じいさんの顔をみて幽霊じいさんが(今更ながらすげーあだ名だ)「自分たちの利益の為に殺し合いたいのなら、やりたい奴だけ行って勝手に殺し合えばいい。関係ない人を争いに巻き込んでとんでもない話じゃ」


「わしらも生きてるうち、次の世代の子供達に同じ事を繰り返さないように、何か出来る事を伝えていきたいなぁ、犬じい」


「そうだなぁ」と冬馬君達の事を見て犬じいさんも頷く。


「平和のありがたみを忘れちゃいかんなぁ」と、しみじみとした顔を幽霊じいが浮かべていた。


それから僕らは二時間以上話していた。

じいさんの昔話や、じいさんの昔話にじいさんの昔話やらだ(なんぢゃ)

本当に本当にどうでもいいことだが、その間、多網は鼻くそを五回ほど食した。ごちそうさまでした。


突然幽霊じいは立ち上がり、「あっ今夜の幽霊番組録画するの忘れた、じゃあな」と帰って行く。

その様子を見て「まったくあいつは、そんな番組ばっかりみて」と犬じいさんは笑っていた。


「さて、わしも犬を散歩に連れてく時間だ、じゃあ、みんなも遅くならないうちに帰りなさい、またな」と言って犬じいさんも帰って行った。


「お年寄りと話すと、僕らの知らなかった事しれるね、面白かった」と大喜


「うん、戦争なんて嫌だね、みんなが仲良く暮らせる世界がいいよ」と冬馬君が言う。


多網も鼻くそをくって、頷きつぶやいた。

「仲良し、良し」


「僕も平和を願う」と大喜


三人は、みんなでお空に向かって叫んだ。


「世界が平和でありますように」

子供達が話を聴き、心よりわき上がった素直な思いはそんな言葉となる。



真夏の昼下がり、青い海がひろがっているかのような澄んだお空だった。



ミーン ミン ミーン



「さて、おうちに帰ろっか」と冬馬君


「おーっ」


心軽やかになったような、夏の昼間のじいさん達との語り合いであった。



新たな人達との繋がりがまた嬉しかった、そんな夏の一日




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