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冬馬君の夏  作者: だかずお
33/68

あらわる



冬馬君の夏



『あらわる』



キャンプから帰った夜

きみ子はうちに帰り、大喜、多網は引き続き、冬馬君の家に泊まっていた。


「いやーみんなが泊まる夜、最高に嬉しい」


「あーキャンプ楽しかったね」

大喜が言った。


ああ、冬馬君はもう清香が恋しかった。

ハァ~どうしてこんなに好きなのだろう。

もう、会いたく、愛おしい気持ち。

次はいつ会えるのだろうか?

こころは妙に切ない気分だった。


そんな時つぶやいた、冬馬君の名言はこれだ

「人はどうして人を好きになるんだろう?」


「ぷっ」二人は笑った。


「冬馬、清香に夢中」と大喜はからかう。


だが、自分も同じく

「ああ、でも確かにもうアミに会いたい」


二人は切ない吐息を吐いた


ふぅ~。

恋する二人


そして、多網は勢いよくこいた。


ブリリ~ッ プシュ~


「多網はきみ子にいつでも会えるからいいなぁー」冬馬君が言った。


「ああ、キャンプ場の日々が夢のような時だった、

なんて素敵な時だったんだろう」冬馬君はいまだ夢のような時を思い出し何とも説明しがたい胸のドキドキと共につぶやいた。


「まぁ、また夏中きっと会えるよ」

と大喜。


多網はぷシューとまた、すかしっぺをした。


そんな切ないような気分のなかの、みんなで過ごせるこの夏休みの夜の瞬間もまた、たまらない。

こころウキウキ。

あーみんながうちに泊まる日々はまだまだ続く。

本当たまらなく嬉しい気分。


「やー知らない場所で過ごすのもいいけど、冬馬家で過ごす夜もやっぱ落ちつくね」大喜が言った。


冬馬君と多網もニッコリ頷く。

「うん、この瞬間最高の気分」


ああ、部屋に三人分の布団が並んでるのが何とも嬉しいのだ。


部屋にはクーラーがついていて、みんなニンマリ。

パジャマで、布団の上に横たわっている。


時刻は21時ころ。

突然、冬馬家の電話がなった。


プルルルーッ


「こんな時間に誰?」とつぶやく多網


「まさか、清香だったりして」と大喜


冬馬君はその言葉に目の色を変え、階段のところへかけだした。


「ぷぷーっ」二人は冬馬君のあまりのお熱っぷりに笑う。


すると、下から正子の声が

「電話だよー」


「えっ、まさか???」


みんなは顔を見合わせた。


本当に清香から?

大喜と多網も様子をうかがい立ち上がる。


「き」


と正子の最初に発音した文字は「き」

だった。

冬馬君の心臓は嬉しコサックダンスを始めた。



「きみちゃんから電話」


冬馬君はずっこけた。


ガックリ。


けたたましい屁と共に前進する多網


「ああ、多網が羨ましいよ」と部屋に戻ってきて苦笑い冬馬君。

清香とあんな仲だったらなー

はひゅー不思議な音のため息を吐いた。



部屋に戻ってくる多網


「きみ子なんだって?」と大喜。


多網は目をつむっていた


えっ?なに 二人はその様子にびっくり。


「どうしたの?」



「来る・・・」


「えっ?」


「誰?何処に?」


「ここに来る」



「とらさめよ」ポツリつぶやく多網



「とらさめよ、あっ!!」

それは、忘れもしない、冬休み婆ちゃん家の旅行の時、夜きみ子が語っていた。

きみ子の友達、三人衆の一人


二人はギョッとした。


「来るの?」


多網はこくり頷いた。


ちょっと、怖いけど気になる・・・

怖いもの見たさだろうか。


そして三人は夜中の語り合いをしながら寝むりについた。



そして、昼過ぎた頃。


奴らはあらわれた!!



ピンポーン



「きっ、来た」


三人は異様な緊張感に包まれていた。


下に降りていき、遂に冬馬君が玄関を開けた。


ガチャ



「やあ、キャンプ楽しかったねー」ときみ子


そして、その後ろから彼女がヒョイっと覗くように顔をだした。

こいつが、虎鮫代ちゃんか!!!


ここで、読者の為にどんな風貌か一応伝えておきたい。

とりあえず、説明すると、虎と鮫を足して人間を混ぜた感じの顔である。


冬馬君は急に虎と鮫が同時に覗きこんできたように感じてびっくりちょっとちびった。


そしてきみ子の背中の後ろにすっぽり隠れるように、また元に戻った。


「虎鮫代ちゃんも私に似て、控えめなとこあるから、今日はよろしく」


あんたのどこが控えめだ、きみ子よ。

背中の後ろニタリと虎鮫代ちゃんは笑った。


「まっ、とりあえずあがってよ」


冬馬君は二階の自分の部屋に二人を案内しようとした。


するときみ子がちょっと待ってと

「キャンプありがとうございました

」と正子に伝え、親から持たされたであろう、お土産を渡していた。


虎鮫代ちゃんは指を加えてそのお土産を見ていた。

ペロッ舌が三回程口のまわりを周った。


正子がそれを見て苦笑い、すかさず言った

「後で二階に持っていくね、みんなでご馳走になりましょう」


虎鮫代ちゃんはそれをきき





















笑った





二階にあがる、きみ子と虎鮫代


「やあ、どうも」ときみ子


虎鮫代

「はじめまして、虎鮫代です、虎鮫代ちゃんか虎鮫って呼んでね、虎と鮫を別々にわけちゃいやよ」


アハハ なんか面白い人だなぁ。


「よろしく」


なんだ、よさそうな人じゃん。

冬馬君は小さな声で多網に囁いた。


「僕、冬馬です」


「僕 大喜」


虎鮫代ちゃんが言った。

「馬に喜って呼んだら変よね?」

そして、自分の言ったことがツボに入ったようだ。


「アパパネ、アパパネ アパパネ」と笑いだした。


やはりなかなか、強烈であった。


「冬ちゃんに大ちゃんよろしく」


「あっ、多網もいたの、アパパネ」


そのアパパネとは何なのだろうか?


「なにして遊ぼうか?」ときみ子


「外に行く?」とたてつづけにきみ子が言った。


「いいよ」みんなは言ったが、首を横に振った虎鮫代ちゃん。


その直後 口の周りを舌が三回まわった。

感の良い読者はお気づきだろう。

そうさっきの菓子を食したいのである。


「じゃあ、なにする?」ときみ子


すると、おもむろに背中のリュックから、なにかをとりだす虎鮫代ちゃん。


それは、カルタだった。

使い古され年期がはいっている。


「虎鮫代ちゃんこれやりたいの?」


「ううん、全然 別に」

舌が口のまわりを一周ほど周った。

そして、何故か正座している。


わっ、分からん。

なにがしたいのか、わからん。


するとカバンからすごろくをだした。

これまた年期がはいっとる。


そして、冬馬君は見た。


その時、舌が口のまわりを一周と半したのだ。


冬馬君は言った

「すごろくやる?」


虎鮫代ちゃんはガッツポーズを決めた。


冬馬君はふと思った。

この時、カルタを選んでいたらどうなっていたんだろうか?



トントン 部屋のドアをノックする音


ガチャ


正子が「これきみちゃんからもらったお菓子せっかくだからみんなでご馳走になりましょう、ありがとうきみちゃん」



わたくし、冬馬は忘れないだろう。

その時の虎鮫代ちゃんのうっれしそーな顔。


舌は四回も周っていた。


みんなはしばし、オヤツタイム。


パクパク、ムシャムシャ。


「んっーうまい」


「虎鮫代ちゃん美味しい?」


「アパー」

虎鮫代ちゃんは泣いた。


「これ、アパーだよ」


きみ子はニッコリ頷いた。


なんだ、このやりとり?

まったく分からん。

まあ、泣く程うまいのだろう。


「アパー?」

突然まさかの疑問系で大喜への質問であった。


テンパる大喜。

「あっ、あぱー」


それを聴いて虎鮫代ちゃんニンマリ

「ああ、良かった」


なにが良かったのかまったく謎だった。


多網は突然こいた。

ぷシュー


きみ子もこいた ブシュー


「あはは、私の勝ち」


ブリッ


「勝った」と多網


でた、二人の名物意地のはりあい。


その時、冬馬君と大喜は見た。


はっ!


虎鮫代ちゃんの舌が、なんと反時計回りにぐるり、一周周った。


まっまさか、時計回りにまわるだけ、

幸福で、逆にまわるだけ、不快なんじゃ?


二人はこころの中ですかさずつっこんだ。


時計か!!


いや、時計は逆回りなんて機能はない、ちょっと進化してる。

いや、そもそも機能が違う。


これがっ、虎鮫代か!!!!


その時、窓に蝉が突然ぶつかってきた。

ミーン ズクシュ ミーミー


わたくし、冬馬と大喜は忘れはしない。


この時の虎鮫代ちゃんの顔と舌の動きを。


舌は突き出し、引っ込みまた突き出された。


あれは・・・

驚いたんだよね、きっと。

分からん、虎鮫代。



五人の夏の一日はつづく。



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