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冬馬君の夏  作者: だかずお
28/68

二人の男




冬馬君の夏



『 二人の男 』



ミーン ミーン ミーン


真夏の太陽の下、男達は黄昏れていた。


えっ?誰だって?


太陽の下、格好つけて立つ二人の男


男は不意にサングラスを外す。

サングラスの下から現れた顔は

サーこと、多網の父。

そして、何故かまたかけなおす。


もう一匹、あっ間違えた もう一人の男も、

ふぅ~とクールなため息をつき花粉対策用マスクを外す。

マスクの下から出てきた男は

とけたみ ことスーだった。


二人は顔を見合わせ言った。


「男二人旅出発だ~」


テンションは高い。

実はこないだの七夕祭りの夜、二人は話し合っていた。


「今年の夏、母ちゃん(奥さん)にお願いするよ、男二人旅行ってもいいか?って」

多網父が言った。


「自分はいつでも言ってくれれば大丈夫だよ、一応ママ(母)に言うけど」

とけたみ は微笑む。


てなわけで、二人の夢は実現した。


「本当、二人で旅行なんて久しぶりワクワクするね」と多網父


「嬉しいねぇ」とけたみさんも微笑む。


電車を降り、目的地に着いた二人は気分最高である。


「じゃ、さっそくホテル行こうか?」

サングラスをまた、はずしてはかけ直し、多網父は青空を見上げる。

何故だ父よ、何故そうもかけたり、はずしたり・・・


「ちょっと、おしっこ 行ってくる」

とけたみさん は公衆便所に向かう。


大の大人なら、せめて小便とでも言ってくれと少し顔を赤らげる多網父。

あっ、自分も少しちっち出そう。


便所の前、待っていると べっぴん美女が。

何故か意識しまくる多網父はサングラスをくいっ、くいっ、くいっ、と三回程 上にあげた。


そこへ、出てきた とけたみさん

独り身 とけたみ はこの旅で実は密かに出会いを期待している。


チラッと振り返る美女


ドキッ

ビックリ、多網父と とけたみさん。


美女が去ってから、二人は口論となる

自分を見ていたに違いない、

いいや私に違いない。

うむ、おばかである。


美女はこう思っていた。

また二匹の猿が私の美貌に見とれてポカンとしてるわ、アホヅラをおがんどこっ。



多網父は言った

「この旅で素敵な出会いでもあったりしてねぇ」


「なっ、なに言ってんの」

ちょっと照れて動揺する、とけたみさん。


「まっ、楽しみましょう」


「そうだね」


さっそく、ホテルに向かう二人。


「すいません、チェックインしたいんですが」と多網父


「チェックイン15時からですよ」


時刻は10時だった。


「あっ、あはは 」

苦笑いして、ホテルを出る二人。


「どうしようか?」


「じゃあ、朝食ついでに一杯やろうか?」


「よしっ、今日は仕事や日常 家庭を忘れ、盛り上がるぞー」


「おーっ」


「あっ、母ちゃんに着いたの報告しなきゃ」もう思い出した多網の父だった。


二人は食堂に入り


「乾杯~」


「いやーまさか、今年の夏に二人で旅行にこれるとは思わなかったね」

グビリ 微笑むとけたみさん。


「いやー良かったよ」


「今日は温泉つかり、リラックスしようね」


そこへ、なんと 旅行者の女の子二人組が店内に。

隣に座る。


急に意識し始め、一瞬で挙動不審になる二人


「いっ、いつ、着いたっけ?」


「えっ、どこにあっ、ここ?」


「食べるとこに?旅行先?」


「あっ、ちくわ」


もはや意味分からん。


隣の女性二人はなんと、ビールを飲み

「乾杯!!」


「旅行って最高だね」

と二人で微笑んでいる。


「あはは、うんっ」

と何故か勝手に返事をしている、 とけたみさん

もはや不気味である。


隣はもちろん気づいていない。



多網父が「今日は温泉沢山入ろうよ」


その時、隣の女性の会話は

「今日なんて言うホテルだっけ?」


言うまでもないが、とけたみさんはあちらの会話ばかりが気になる様で返事をしたと思ったら。


「あっ、トーワヨーコーホテルだよ」

の始末だった。


温泉の話ふったんだが。

トイレに立った多網父は考えた、

友の為に一肌脱ごう。


この時、本当にどうでもいいが一肌の字がもし人肌になっていて、多網父が皮を脱ぎ捨て

中からチッコイ ハエが操縦かんから手を放し、遠い宇宙に飛びたっていったら笑った。


なんぢゃー なんぢゃー もんじゃー


ちゅるるるるーにゅる。


よし友の為に一肌ぬぐ。

「勇気をだして、女の子に声をかけるぞ」


席に戻り


ぐびっとビールを飲み

よっ、よしいくっ、いくぞ!


あっもうちょい


ぐびっ。

見てろ、友よこうやって声をかけるんだ。

手本を見せてやる!!


「あのふっ、けか」

いきなり噛んでしまった。


「えっ?」


「あっ、あっ、美味しいですか、その肉じゃが」


女性達は笑った。

何故なら食べていたのは、焼き鮭だからである。


多網父よ何故、肉じゃがに見えたのだ?


そこに得意げにうまくするり会話に入り込む、するめいかこと、とけたみ


「あはは、面白いことで話かけるね、

秋刀魚焼きを肉じゃがだと思うなんて

、女性がビックリしちゃうよ。

だから、とけたみよ お前も何を聞いていたんだ。

鮭だよ、鮭。


「あはは、面白い人達」


多網父と、とけたみさんは顔を見合わせた やった 話てくれた。

わーい、わーい。

もう大満足であった。

とけたみさんは何故か泣きそうだった。

よっぽど嬉しかったのだろう。

生きてきて良かった。



「ふっ、二人は何処から来たの?」


「私達は埼玉です」


「あっ、ああそうなんですか」


会話は終わった。


「あっ、あっ だっ さっ、良かったらおごりますんで味噌汁飲みますか?」

焦る多網父。



おお我が友よ 何故味噌汁にしたのだ。

なぜ味噌汁にしたのだ。


「せめて、ねぇ 白飯にしようよ」

と、焦り訂正するとけたみさん。

まあ、それもまったく訳分からんかった。


「あはは、面白い人達」

何故かウケはよい。


多網父は友の背をつっついた。

良かったね。


友の顔は天国で踊る天使のような顔になっていた。

「うっ、うん」ウフフ ウフフフ。

とけたみスマイル~


その時、予想外の展開が。

ガラッ入り口のドアが開く。

これまた旅行者らしき二人の茶髪青年

女性達に「隣座ってもいいですか?」


「はい」


この時、友の顔を見ると、先程の天使はいずこへ......


地獄で怒る閻魔とけたみの表情に変化していた。

口はへの字 目はつり上がる。

じゃークソーじゃがー


男達はさっそく、女性に話かけている

「この、おじさん達知り合い?」


「いや、さっき話たばかりです」


「あはは、ビックリした、まさか連れかと思っちゃった」


ズクシュ

まるでとけたみさんの右耳の裏から角がはえた様な気配がした。


「ねぇ、この後どっか一緒に観光行こうよ」


「えー」

後につづいた言葉は意外なものだった。

「この人達も一緒なら」


「えっ?」

嫌そうな顔をする男達。


本当はもうすでにここを離れいつもの平穏な二人の空気に戻りたかった多網父と、とけたみさん しかし ノンとは言えない二人。



「はっ、はぁ」



「じゃあ、どこ行く?」

と青年。


すると女の子の一人がこれまた、意外な発言。

「ボーリング」


この発言に二匹いや違った、二人の男達は立ち上がる

ぼっ、ボーリングしたい。

とけたみは空想した。

この中で一番のハイスコアをとり、

女の子達に

「わーとけたみさんって凄いんですね」


「えへへ、いやーそれ程でもあるよ~」


にしししししっ。

とけたみは不気味に笑っていた。


しかし、多網父も空想していた。

順位は自分が一番。


「わーボーリング上手いんですね」


「いゃぁ、君には負けたよ」

と とけたみさんが悔しがり。


若い男二人は

「あーボーリングの神様や」


にんまり。

多網父は満足気な笑みを浮かべる。



「えーでも旅行に来てボーリング」

と男が言う。



「旅行に来たから、ボーリングなんですよ」誰とも目を合わせず、とけたみが吠える。


こくり頷く多網父。


こと、ボーリングに関してはこの男達は勇ましかった。


みなさんそんな二人にビックリ仰天

「えっ、はじめて聞いたけど、じゃあ行きましょうか」


すぐ隣にボーリング場が実はあった、

何故知ってたかって?

そう、彼らである。

多網父達は、お互い言わなかったが

各々旅行前からボーリング場を調べていた。

なんと、とけたみさんはボーリング場に近いからという理由であのホテルを選んでいた。

無論そんな事は一言たりともお互い口に出してはいない。


二人の程では、「あっ、こんなとこにボーリング場があったんだ?

知らなかったなぁ、ちょっとだけやろうか?である」


そして、何くわぬ顔で相手を出し抜きゲームをして、こてんぱんに打ち負かすことであった。

そう、まさに子供でもしないであろう幼稚な策略とも言えない作戦いや、

予定いや、遠足のしおり以下のものであった。


ボーリング場に着いて

みんなは

「靴レンタルしなきゃ」


その時

多網父は「ちょっとトイレ」


とけたみさん「あっ、ちょっとコンビニに行ってきます」



二人はお互いに思った、まさかこやつ!?



10分後、彼らは戻った。

マイシューズにマイボール、それにウェア 変身である。


彼らが旅行に持ってきていたリュックの中はボーリング道具だけであった。


二人はお互い顔を見合わせこう思ったと言う。


「お前もか~~」



「えー何ですか二人共、まさかプロ?自前ですか?」


変なプライドがある二人


「あっ、ちょっとたまたまカバンに入ってたみたいで」


どんなたまたまだ・・・


「私は何か、落ちてたから、そこで拾った」


って、おいっ どんな嘘だ とけたみよ。


「よく、ボーリングやるんですか?」と青年


「あっ、えっ、そんなことないよ、滅多にやらない」

全身をウェアで包み、手にマイボール、足にマイシューズの男は言った。


「順番はどうします?」


その質問に男達は目をギラつかせた。


これは重要だ。

先だと相手のスコアが知れないから、

でも後だと、あーだこーだ頭の中で色々かけめぐった。

無論、二人の男の頭の中である。


「まっ、適当でいいんじゃない」と青年


とけたみは思った。

馬鹿がそうはいかないんだよ重要なんだよ、お前が仕事くびになるかならないか以上に重要なんだ。


めちゃくちゃなり。


まぁ、とりあえず順番は決まった。


「まずは自分からか」

とけたみは立ち上がり深呼吸をした。


さあ、友よ見せて見よ、この人数での初球、緊張感に勝てるかな?

多網父はニヤリ笑う。


走り出した、

うわっ、ちょっと緊張するな、みんな見てる。

ええい、行くぞ。


タタッ

助走が始まる。

あっ、こんな感じだっけ?


ゴロゴロ


ガラン


四本倒した。

喜べない微妙な数。

ちなみに緊張のせいかいつもの掛け声すら忘れてしまっていた。


しまった、自分はなにをしてんだ!!

とまどう彼の後ろ姿に後方で座って見ているみんなは少し反応に困った。


とけたみは目を閉じた。

いかん、集中するんだ

どうした?フォームはいいだろ?

掛け声どうした?

集中 集中 集中 集中


行くぞ


その時、後ろから声がした。

「あんな格好して、下手くそだねあはは」と青年


「しっ、聞こえるよ」


とけたみのプライドは音を立てて崩れた、顔は真っ赤っか。

プルプル手は震え、次の投球。


ええい、こころをみだすなとけたみよ

自分に言い聞かせた。


ズンッ がっ ガーター。


戻りながらみんなに聞こえるように囁いた「まぁ、最初はわざと」

顔はひきつっていた。

妙にリアルな焦りが余計に笑いをさそう。

青年は下を向いた。

やばい、笑ってしまう。


「次はわたし」と女の子


ビューン


すっストライク


「わーい生まれて二回目のボーリングなのに」


この時、多網父も緊張していた。

いつもの、いつもの


そして出陣


「じゃ行かせてもらいます」


すると後ろから小さき声が。


「これであの人も下手くそだったら、俺大爆笑なんだけど」


多網父は緊張でもうフォームすら忘れてしまった。

あっ、格好良く助走つけられるかな?


走った


えーと掛け声は あっ今日はいいや


ガラン


ガーター


「あははははは、おじさん達下手くそだ」もう笑いがこらえられなかった。


「笑っちゃ悪いよ」


あっ、あっあ 駄目だ緊張する。


「そうだ、おじさん僕たち二人とチーム戦で勝負して勝ったらその道具一式ちょうだいよ」


「こりゃあ楽勝だ」


ブチッ


なにを馬鹿にされようと怒らない彼らだったがボーリングだけは許せない。

目にはいつもの輝きが戻っていた。


「わっ、分かった」


「そっ、その代わり僕らが勝ったら彼女達を解放しろ」


っておい、いつから彼女達は捕えられたんだ、とけたみよ。


「なんですか、それ 中年ヒーローになったつもりですか」


とけたみはボールを握った。

「黙ってボーリングで勝負をつけよう」


彼はきっと、大好きな西部のガンマンになりきってるのであろう。


「じゃあ、チーム戦でやろう」


「分かりました」


「じゃ最初はそちらから」


多網父と とけたみさんはどちらが一投目を投げるか、綿密に話し合った。

なんとその間、十分。


「じゃあ行くよ」

怒れるとけたみからだった。


彼の目にはいつもの気合いが戻っていた。


全力でかける


そして



「スーーーーーーーーーーー」

でたーっ!!

名物復活。


ガラン ガーター あっ間違えた ここはストライクにしといてやるか。

すっ、ストライクー


とけたみことスー は叫んだ。


「うぉースー スースー スースー」


無論四人は、あまりの豹変ぶりにあいた口がふさがらない。


そして、とけたみは相手に向かって両人差し指を指して

「すーーーーーーーーーーーーっ」

でた~腹立つやつである。



かあーっとなる青年達。

次は僕らだ。


「まっ負けないぞ」


男達の熱きバトルが始まった。






つづく


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