キャンプで夜中の語り合い
『キャンプで夜中の語り合い』
子供達はいっせいにテントに駆け込んだ。
清香の弟はもう眠いようで母親から離れなかった。
残りのみんなはテントに入り。
「夜のテントの中の語り合い最高だ~」
ああ、テントの中はすでに自分達の部屋みたい、何だか和む。
「さっ、みんな入って」
テントの入り口のチャックを閉め子供達のスペースになった。
「何だか森の中に部屋が出来たみたいで嬉しい」と清香
「あー快適」寝そべるきみ子。
「キャンプ最高に楽しかったなぁ」
アミが言った。
「あー明日帰りたくない」と清香
二人からそんな言葉を聞いて嬉しかった、冬馬君と大喜。
ああ、でも明日はもう清香達とお別れ
何だか少し胸が切なくなる冬馬君と大喜だった。
「ぶっちゃけトーク」と突然多網が
言った。
「良いね、それ」きみ子はノリノリ
あー何だかたまらないなぁ、夜の語り合い 冬馬君はニッコリ笑った。
「じゃあ、好きな人みんないるの?」
突然のきみ子のお題に顔が真っ赤になるみんな。
「じゃあ、清香ちゃんは?」
ドキューン
心臓が突き破れるかと思った冬馬君
あまりにテンパってしまい、呼吸の仕方を忘れた ハシュ ヘッヘ
おい落ちつけ冬馬よ。
まるで、水が変なところに詰まった犬の様な呼吸の仕方だった。
しかし、気になる。
清香は何て言うんだろう?
冬馬君は清香の顔をそっと目が合わない様見つめた。
大きな瞳は輝いている。
その時だった、思ってもみない返事が。
「うん、いるよ」
ボヒューン
心臓が鼓動のテンポをどうやら、間違えちやっちゃったみたい。
ドッドっ ポ
ドドドドド ポポー シュポー
はひゅ、はひゅ
落ちつけ、落ちつけ まだ誰とは言ってない、それに僕かもしれない。
あまりに動揺する冬馬君に大喜は気がついた。
おっ、落ちつけ、気をしっかり持て
冬馬 心の中で思っていた。
きみ子が「えーっ、もしかして近くにいるんじゃない?」
と上手い聴き方をしてくれた。
さっさすがきみ子。
ハッ これで僕かそうじゃないかが分かる。
心の中祈った たっ頼む かっ 神様。
近くにいると言ってくれー。
うおおおーおー
この時ばかりはこの熱意がそうあの彼に伝わった。
言わずとしれたクマパンツである。
彼は熟睡していたのだが、
「なんだっ、身体が熱い、こっこいつ燃えている うぉー」
熱意はこの熱きクマパンに伝わった。
うおーライトオンクマぱーん。
うん、それだけである。
そして清香は言った。
「ううん、近くにいないよ」
ドカーン バリバリバリ~
冬馬君は自分が木っ端微塵に吹っ飛んだかと思った。
冬馬君からは色が消えまさに灰色一色になっていた。
いや、みるみる色はどす黒くなり今は真っ黒黒ちゃんである。
あまりに真っ黒の塊になっていたので
大喜はギョッとした。
しっかり、しろー冬馬
心の中、大喜は叫んだ。
あれだけ、好きだったのに辛いだろうな。
さすがのきみ子も冬馬君じゃなかったんだと分かり、これ以上の質問をやめた。
多網はシリアスな黄昏顔を浮かべ
ため息をついた ふヒュー。
「くっ」
その時、男は目を見開いた。
「どっ、どっ どんな人なの?」
それは冬馬君の瀕死の質問だった。
顔は動揺にみちあふれ、
まだそれ程好きじゃなければ、
自分にもチャンスがあるかもしれない。
胸が苦しい ああ だけど このままじゃ
せめて せめて 知っておきたい。
きみ子はこの冬馬君の何とも切ない状況がわかり必死に屁をこらえていた。
おいっ、屁かい。
どうでもいいが多網も右に同じだった。
「すっごい、優しいの それでとっても
あったかい 本当に大好きなの」
ズクシュ ズシュリン スッポケー
三連コンボが心の臓を貫いた。
ぐふっ、涙を必死に堪えるのが精一杯だった。
もう、どんな反応をしたのかは分からない。
かなり動揺していた。
そして、それ以上ききたくなかった。
ああ、君が遠くに行ってしまうようだ
。
ああ、そうだったのか。
勝手に舞い上がっていたのは僕だけだったのか。
あの時も、会う前にあんだけ舞い上がっていたのも、僕だけだったのか。
もしかしたら、君も僕の事 好きだったんじゃないか?なんて淡い期待は木っ端微塵に消しとんでしまった。
君にとっては、僕はただの友達だったんだね。
ああ
一緒にくるキャンプも今年が最初で最後かも・・・
もう、会うこともないかもなぁ。
それは、生まれて初めての失恋だった。
何だこの気持ちは。
うっ うう 寂しいような切ないような
何だこの気持ちは。
辛い
ぐふっ。
「ぼっ、僕ちょっとトイレ」
冬馬君はすかさずテントから出た。
さっきまでの気持ちは何処へやら。
虫の鳴き声すら、あまり耳に入らない
。
空を見上げ大きなため息をついた。
フゥーッ。
優しく星だけが見つめてくれていた。
Tシャツの袖で涙を拭った。
でも、嫌いになんかなれない。
君の心は他の人でいっぱいなんだ。
そう、僕ではなく。
フゥーッ ハーっ フゥーッ ハーっ
妊婦の様である。
一気に落ち込んだ冬馬君。
まっ、まさかこんな展開になるなんて
ハァーッ さようなら 私の初恋。
フゥーッ。
さようなら、清香。
後ろから、大喜がやって来た。
「やっ、やあ大丈夫?」
「あっ、ああ ああああっありがとう」
大喜の気遣いが嬉しかった。
「まだ、終わった訳じゃないよ」
「うっ、うん」
そして、大喜は戻っていった。
フゥーッ
もう、会話をするテンションの気力すら残っていない。
ついで多網がやって来た。
何も言わずに隣に来て立ちションを始め、突然
ブリブリぶり ブリーッ。
強烈で力強い屁をブチかまし
去って行った。
なんだったんだ?
彼なりの励ましだったのは分かった。
いつまでも、外に居たら怪しまれる。
突然、頭の中に清香との思い出が沢山よぎった。
キャンプや花火、お化け屋敷 沢山の優しい言葉に笑顔。
冬馬君は泣きそうになった。
ああ、ああ。
君は去って行ってしまう。
遠くに行ってしまう
まるで、今日が最後になってしまうよう。
「しっかりしろ冬馬 」
惚れた女ならそれを暖かく見守るくらいのことやってやれ。
両手で自分で頬をたたき喝をいれた。
そして、テントに戻る。
みんなは笑っていた。
きみ子が冬馬君を見た。
「清香ちゃんの好きな人誰だかきいちゃった」
ズキッ
「あっ、ああ」
もういいよ。
僕でないことは確かなんだから。
「遠くに住む、おばあちゃんだって」
「ああ、おば おばけ?えっ?
あっ、おばあちゃん」
冬馬君は360度回転してから、ずっこけた。
そして、立ち上がった顔にはいつもの笑みが戻っていた。
ニンマリ 。
よっ、よっ 良かった~ しゃーしゃー
しゃーしゃー心の中でガッツポーズを決めた冬馬君。
しゃー。
クマパンもしゃーしゃー言っていた。
次に質問はアミに向かった。
「アミちゃんは?」ときみ子
「うん、いるよ」
しかし、大喜はなにひとつ揺るがなかった。
「あはは、どうせおばあちゃんでしょ?アハッ」と大喜
「ううん、男の人」
顔は一瞬にして、真っ黒になった。
動かなくなる大喜。
かっかっか かはっ。
だっ、大喜よ 息を吹きかえせ。
まだ、黄泉の国に帰るには はやいぞ。
大喜大丈夫かな?心配する冬馬君。
大喜は真っ黒になっている。
「私はおじいちゃん」とアミの一言
大喜は九百四十と二度程 回ってからずっこけた。
この夜中の語り合いは二人にとっては刺激的過ぎた、心臓が三つあっても、
足りないようである。
深夜になったが子供達の会話は止まらない 賑やかなテントの夜はまだ続いてる。
笑い声が森の中に響く。
「ああ、お昼にはきっとバイバイしてるのかなぁ」と清香
本気の正直、寂しかった冬馬君。
ああ、明日にはお別れ。
子供達はいつまでも、いつまでも語り合い起きていた。
川の流れる音は途切れることなく耳に残った。
ミーンミン ミーン
気がつけば、みんな寝ていて朝がやって来た。
すぐに目が覚めた冬馬君
外に出ると霧がかる森の中
あー空気が美味しい。
大人達がもう片付けはじめていたのが目にはいる。
キャンプが終わりに近づいている事を感じさせるその光景が少し切なく思えた。
少しでも長くいたい冬馬君は手伝わずにすぐにテントに戻る。
楽しかったなぁ。
ああ、帰りはもう別々なんだなぁ。
テントの中、いつまでも川のせせらぎを聴いていたいそんな気持ち。
いよいよキャンプは終わりに近づいていた。
つづく




